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中国「臓器狩り」の見えない暗闇(1)
まさに映画「アイランド」の世界。“彼ら”は眠らされ、摘出され、二度と目覚めることはない
カナダ元アジア大洋州担当大臣 デビッド・キルガー
元国連カナダ代表 デビッド・マタス

「短期間でドナー(提供者)が見つかる」と、中国へ渡航して、臓器移植手術を受ける日本人が増えている。だが、提供者はどのような人々なのだろう。「生きた中国人から、本人の同意なしに臓器が摘出されている」。カナダ独立調査団が告発を受けて明らかにしたのは、「4万以上の臓器が出所不明」という戦慄の事実だった。しかも、手術数の飛躍的な増加は、中国共産党が気功集団「法輪功」弾圧を始め、学習者の身柄拘束が増えたのと同時期だという。移植臓器は、とらえられた学習者たちから収奪されたものなのか。

 昨年配給の米SF映画『アイランド』は、2019年の近未来、裕福な人々が自らのクローンから臓器提供を受ける移植物語だった。事実を知ったクローンが生きる尊厳を追い求める姿は、いつしか観客の大きな共感を呼び話題となった。「逃げろ、生きるために」−−。しかし、このセリフが、この瞬間、映画ではなく現実世界でわき起こっている。中国で進行中の恐るべき人権侵害の実態を、カナダ人政治家と弁護士があまさず語った。

 

 マタス 日本の皆さん。われわれは今年五月二十四日付書簡を通じて、「法輪功迫害調査連盟」(CIPFG)から告発を受けた。中華人民共和国の国家機関と政府職員が、法輪功学習者を対象とした「臓器狩り」に従事し、臓器収奪の過程で学習者を殺害しているという。この連盟は設立登記が米ワシントンにあるNGOである。われわれは事の重大さに鑑み、調査依頼を引き受けた。

 キルガー われわれは、いかなる組織や政府からも独立し、すべて無報酬、ボランティアで調査した。中国大使館が、中国での現地調査を拒否したなか、実際に執刀した外科医や病院関係者らに接触し、証言を集めた。入手し得る大量の関連情報をつなぎ合わせることで非難すべき全体像が見えてくる。結果は、百ページを超す調査報告(英文)にまとめ、インターネット上に掲載した(http://investigation.go.saveinter.net/)。本日はそれを土台に報告したい。 《来日したキルガー氏(65歳、写真右から2人目)は今年1月まで、26年にわたって国会議員を務めた。アジア太平洋担当大臣などを要職を歴任。議員就任前は主任検察官。マタス氏(63歳、同4人目)は移民、難民、国際人権問題を扱うウィニペグの弁護士。国連常任理事会、国際法廷のカナダ代表団員など歴任し、現在、連邦法廷で二つの委員長職にある(法律支部連絡委、人種平等執行委)。10月16日、東京・市ケ谷で行われた緊急報告会「恐るべき中国の臓器移植の実態」(主催・日本戦略研究フォーラム)では、平沼赳夫・衆院議員やジャーナリストの櫻井よしこさんらも熱心に耳を傾けた。両氏はこの日、厚生労働省で記者会見し、翌日、自民、民主両党にも報告をした。》

  続く

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【正論1月号】