全国高校野球選手権大分大会が開かれている新大分球場には、保護者会などのバスが並ぶ=13日午後
野球部員が死傷した柳ケ浦高校(宇佐市)のバス横転事故をきっかけに、自前のバスを部活動の移動に使う「安全性」がクローズアップされている。多くの高校が自前のバスを持っており、「事故はひとごとではない」「安全面を考えれば貸し切りバスの方がいい」と考える関係者は多い。しかし、経費の問題から、自前のバスを使わざる得ない現実が横たわっている。
県教委によると、県立高校が部活動などに使っているバスは計77台。保護者会などが所有し、教職員と保護者計271人が運転者として登録。2年に1回、実技を含めた安全運転講習の受講を義務付けている。
生徒の安全を考え、県教委は、部活動での生徒の移動には原則として公共交通を使うよう要領に定めているが、「交通網が発達していなかったり、荷物が多く、自前のバスを使わざるを得ない部分がある」(体育保健課)とする。
実際に、ほとんどの学校がマイクロバスや自家用車を使っている。大分舞鶴高校は野球部保護者会のマイクロバス(29人乗り)をほかの部も利用。自前のバスを使う理由について「急きょ、中止になった時などに柔軟対応できる。1台10万円近く掛かる貸し切りバスを毎回使えば保護者の負担も増す」と話す。
野球、サッカー両部の保護者会がマイクロバスを所有する情報科学高校は「自前のバスでの送迎は保護者の理解も得られている」と説明する。
剣道部を指導する男性は、移動時にバスを運転している。「貸し切りバスが安全でいいけど、お金に余裕がないので無理」。ラグビーを指導する男性は「運転は体力的にきつい」としながらも「経費節減のためには自前のバスを使うしかない」とこぼす。
大分高校は4台のマイクロバスを所有。公式戦や練習試合が多い夏から秋にかけての週末はフル稼働になる。ただ、貸し切りバスを使うことは予算的に難しいという。小山康直校長は「すべての移動を貸し切りバスにするのは、全国どの学校でも無理ではないか。まずは自前のバスを使った安全送迎策を徹底しなければならない」と話す。同校は13日、全教員を対象に緊急交通安全講習会を開催した。
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