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きょうのコラム「時鐘」 2009年7月15日
2人とも、もう天国に行かれたがウイスキーの名コピーライターから作家になった開高健と映画評論家の淀川長治、両氏の対談は味わい深さで、天下一品だった
酒を飲んだら騒ぐの?眠るの?いやらしくなるの?と聞かれて「旧約聖書を読んで寝ます」と言う開高さんに「最悪の男やなあ」と淀川さん。でも「あんたがサントリーを首にしても、あんたがサントリーを首になることはない」(一言半句の戦場=集英社) この異才2人に、サントリーとキリンが「経営統合したらどうなるの?」と聞いてみたかった。旧財閥系のキリンに対し、サントリーは創業家の個性が強い非上場企業だ。独禁法に抵触しないか、社風の違いをどう克服するか 開高さんはPR雑誌「洋酒天国」の編集長もした。中身は香水やらヌードやらバクチの話で「高い金出して雑誌作って、宣伝がどこにもないやないか!」と重役がどなったという。が、これが洋酒とともにあるもの、酒の文化だという 統合の影響は経済界にとどまらず、日本の酒文化にまで及ぶ恐れもないわけではない。企業の行く末より、そちらが気になる。 |