「やさしいひとへ」

――高遠菜穂子さんに贈った詩――

 

中 井 多 賀 宏

 

略奪された魂

踏みにじられた想い

それを探して歩く

あなたの姿

 

大手を振って跋扈する毒々しい獣たち

  この混迷の時代を舞台に跋扈する猛々しい野獣の群れ

生贄を探すその目は、

赤黒く錆び付いている

あなたの体を包むそのやさしい熱は

僕の心に、しつかりと伝わってきました

僕の魂に、しつかりと命を伝えてくれました

あなたの魂は、僕の足を前へと進ませ、

僕の心を、あの青い空へと繋げてくれました

あなたのその燃えるような情熱は

僕の心に、しつかりと伝わってきました

僕の魂に、しつかりと未来を伝えてくれました

あなたの魂は、僕の体を前へと進ませ、

僕の心を、あの広い大地へと繋げてくれました

 

略奪された愛

踏みにじられた想い

それを探して歩く
 あなたの姿


なかい・たがひろ 市民の意見
30の会・東京 会員、箕面市。一九七三年生まれ。コスモス文学新人賞「現代詩の部」入選。パニック障害・強迫性障害者として療養しつつ、大阪・梅田地区でホームレスの人々の生活の世話をするなどの活動もしている)

(編集部注)
『ニュース』に印刷されたものは、サブタイトルが誤植で、「高遠」さんが「高藤」さんになっています。高遠さんと中井さんにお詫びいたします。

テキスト ボックス: カット 鷺谷眞理子