日本鶏卵生産者協会が昨年2月に養鶏業の危機を訴える全国大会を開こうとした際、農林水産省が、民主党国会議員が来賓として招かれていることを問題視し、大会の中止を求めていたことが14日明らかになった。背景には自民党農林族議員の反発もあったとみられ、担当課の食肉鶏卵課は助成金カットなどを持ち出して圧力をかけたという。協会側は要請には応じず、予定通り集会を開催した。
同協会はコスト増による養鶏業者の窮状を訴え、政府に緊急対策を求めるため「養鶏危機突破緊急全国大会」を同年2月12日に東京都内で開くことを計画した。
この大会に野党議員が招待されていることを自民党議員から事前に聞いた食肉鶏卵課は、同月6日に「自民党が怒っている。大会を中止しなければ卵価安定基金への助成金を切る」などと協会幹部に迫ったという。同基金は生産者の拠出と国の助成金で積み立てられ、卵の価格が基準価格を下回ると差額分の9割を生産者に補てんする仕組み。
協会側は同12日に予定通り大会を開催し、鶏卵生産者約400人が参加した。来賓として自民4人、民主3人、国民新党1人の国会議員が出席したが、助成金が削減されることはなかったという。
当時、会長だった梅原宏保・前会長は14日、毎日新聞の取材に「民主党と国民新党が鶏卵業者のための議員連盟を作ってくれたので、バランスを取るため与野党の議員を呼ぶことにした」と説明した。一方、農水省の佐藤一雄畜産部長は「与党の反発は必至だった。これが原因で鶏卵関連予算の執行に支障をきたすのを恐れ、やむを得ず中止要請した」と話した。【太田圭介、奥山智己】
毎日新聞 2009年7月15日 東京朝刊