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コンセント火災:出火原因に

 日常の暮らしに潜む危険。その典型がコンセントからの出火による火災だ。身の回りの家電製品が増えるなか、安全に使えているかチェックしたい。【清水優子】

 ◇たこ足配線、束ねたコード過熱 ほこりでプラグ放電

 東京都目黒区で6月深夜に起きたマンション火災。就寝中の父娘2人が逃げ遅れて死亡した。警視庁目黒署によると、燃え方が最も激しかったのは和室のコンセント付近。助かった家族は警察に対し、和室内がコンセントに複数のプラグをつなぐ、いわゆる「たこ足配線」になっており、電気コードも古かったと話しているという。

 コンセント火災が後を絶たない。05年12月に茨城県で起きた住宅全焼火災は、ペット用電気カーペットの電源コードを飼い犬がかんでショートしたのが原因で、1人が死亡。北海道では06年5月、電気ポットの電源コードが過熱でショートし、住宅の一部を焼いた。コードを長期間束ねたままだったという。コンセントの数は工事などをしなければ増やせないが、家電製品は増えていることが背景にあるとみられる。

 コンセントから離れた場所でも複数の電源を同時にとれる「テーブルタップ」。気をつけたいのが電気の容量だ。一つのコンセントやタップで使える容量は、経済産業省の電気用品安全法の技術基準で「15アンペア(1500ワット)以下」と規定されている。これを超えると過熱し、発火の原因になりやすい。

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)の実験では、13アンペアのホットプレートを許容電流7アンペアのタップに接続したところ、約25分後にコードから発火した。発火個所はコードを束ねた部分で、コードの表面は180度に達していた。

 容量オーバーを招く一因が、たこ足配線。テーブルタップを二つ以上連結させたり、さらに小型のタップを差し込んで使う状態だ。NITEが04年度以降、消防署や業者の依頼で調べた火災・事故のうち、たこ足配線や束ねたコードが原因だったものは39件あり、うち7件で死傷者が出ている。

 コードの扱い方も注意が必要だ。配線器具メーカーなど約70社で作る社団法人・日本配線器具工業会(日配工)によると、途中で束ねる▽リールで巻く▽留め具で壁に固定▽家具やカーペットの下敷きにする--は過熱や損傷の原因になる。また、コードをコンセントから抜く際には、無理に引っ張るとプラグやコードを傷めるため、必ずプラグ本体を持つ。日配工の渋江伸之専務理事は「タップにも寿命がある。年1回は点検し、異常が見つかったら交換を」と呼びかける。

   *

 コンセントやプラグの周りについたほこりが発火の原因になることもある。「トラッキング」と呼ばれる現象だ。長い間プラグを差したままにしていると、たまったほこりに水滴や湿気が加わり、電気が通る状態になる。そこから放電を起こし、発火する。

 東京消防庁によると、トラッキング火災は97年には55件だったが、10年後の07年は82件に増えた。出火場所は台所などの「居住関係」が49%とほぼ半数を占めた。宮崎県では06年7月、停止中のエアコンのコンセント付近から発火し、エアコン本体などを焼いた。21年間プラグをコンセントに差したままで、トラッキングを起こしたのが原因だった。

 NITEの長田敏参事官は「シーズンオフなどで家電製品を使わない時は、電源プラグをコンセントから抜く。特に湿気の多い梅雨時は、ほこりを乾いたハケ状のもので必ず取り除いて」とアドバイスする。

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 ■テーブルタップの交換サイン(カッコ内は考えられるトラブル)

▽テーブルタップやコード、電源プラグが熱い(容量オーバーや内部に異常発生)

▽コードを動かすと、使用中の器具がついたり、消えたりする(内部で断線)

▽プラグの抜き差し部分がグラグラするなど緩い(タップが損傷)

▽電源プラグの刃の根元が焦げたり、溶けている(プラグが損傷)

▽本体やコードにひび割れ、傷がある(充電部が露出)

▽電源プラグの刃が曲がっている(プラグが損傷)

 ■テーブルタップの危険な使用例

▽コードをカーペットや家具などで下敷きにする

▽コードを扉やふすまではさむ

▽コードを引っ張って抜く

▽コードを束ねて使う

▽ストーブなど熱風が当たる場所で使う

▽表示された容量を超えて使う

▽たこ足配線をする

▽水がかかる所で使ったりぬれた手で触る

 (日本配線器具工業会のパンフより作成)

毎日新聞 2009年7月15日 東京朝刊

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