「脳死は人の死」患者と家族は
「脳死は人の死」患者と家族は 07/13 19:20

臓器移植法の改正案がきょう、参議院で採決され、「脳死は人の死」とする案が可決・成立しました。

0歳からの臓器提供を可能とするもので、地元・福岡でも、喜びの声の一方で悲しむ声もあり、患者と家族の思いは複雑です。

福岡市では、移植手術を受けた患者と親が集まり、インターネットで中継された参議院本会議の採決の様子を見守りました。

採決の結果、先月、衆議院を通過した臓器移植法改正案のA案が、賛成多数で可決・成立しました。

A案は「脳死を一般に人の死」と位置づけ、本人の意思が確認できなくても、家族の同意があれば臓器提供ができるとするもので、これまで15歳以上とされた年齢制限も撤廃されます。

早良区に住む江田果瑠奈さんは去年1月、ドイツで心臓移植手術を受けました。

14歳のときに移植しか助かる方法はないと宣告され、5年間、国内での移植を待ち続けましたが、かないませんでした。

一方で、「脳死を人の死」とすることに反発する声も上がっています。

久留米市に住む田中千尋さんは、人工呼吸器をつけた子どもを持つ親の会「バクバクの会」の1人です。

長男・大貴君は、重度の仮死状態で生まれました。

脳死になる危険性もあった中、大貴君は徐々に回復、日中は人工呼吸器を外せるまでになり、母親に付き添われながら学校に通っています。

今回の決定をめぐっては、慎重な審議を求める声もありましたが、政局が動き出したことで採決が急がれたという見方もあります。

法案の成立で、「脳死は人の死」とすることになりますが、臓器移植を受けた江田果瑠奈さんの母親の博子さんは、適切な臓器移植のために、「脳死判定を拒む権利も、社会の中できちんと守られる必要がある」と話しています。