2009年7月14日23時41分
長男に手紙を書くのに使おうと98円の消しゴムを万引きしたとして、常習累犯窃盗罪に問われた岐阜市に住む無職の被告の女(70)に対し、岐阜地裁は14日、懲役2年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。過去に盗みを繰り返していたための同罪適用で、宮本聡裁判官は「息子さんに連絡し、今後どう生活するか考えて」と説諭した。
判決などによると、女は万引きなどの前科がある。1月に刑務所を出所後、生活保護を受けてアパートで一人暮らし中、月に1〜2回、石川県の長男に「元気にやっている」と手紙を出していた。
手紙は鉛筆で下書きしており、「消しゴムがあれば便利」と思い、岐阜市のスーパーでポケットに消しゴムを入れたところを保安員に見つかり、現行犯逮捕された。
逮捕後もスーパーの店長や検察官、弁護人あてに「二度と悪いことはしない」などと手紙を書き、弁護人も公判で高齢であることへの配慮を求めたが、執行猶予は付かなかった。宮本裁判官は「被害は少額だが、手慣れた犯行で実刑は免れない」と述べた。