『MW -ムウ-』玉木宏 インタビュー

『MW -ムウ-』玉木宏 インタビュー1/2

「これでいいやという言葉とは無縁であり続けたい」

手塚治虫の名作漫画を原作に、少年時代に経験した事件の謎を追うあまり、闇へと身を落とした男の復讐(ふくしゅう)劇を描くサスペンス・アクション大作『MW -ムウ-』。世紀の衝撃作との呼び声も高い本作で、過去の傷にとりつかれて暴走する主人公・結城美智雄を熱演した玉木宏が、役柄やタイでの撮影について率直に語ってくれた。

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結城の人間的な体温を見せたくなかった

玉木宏

―― 結城には、ダークヒーロー的な要素がありますね。演じたご感想は?

玉木宏(以下玉木):結城という役は、僕が今までに演じたことのないタイプ。ですから、この作品をいろいろな方に観ていただいて、また思ってもみない役柄のオファーなどが来たらうれしいですよね。自分の中でやり切った感はありますし、役者としての幅を広げたい思いもあって取り組んだ役ですから。

── 役にはどうアプローチをしていったのですか?

玉木:脚本と手塚治虫さんの原作を読み込んで、沸いてくるイメージにたどり着くことだけを考えました。もともと僕は役と自分を切り離して考えるタイプで、自分と重ねてしまうとキャラクターの見せ方に限界が生じてしまうと思っているんです。結城という役は特に、自分自身をベースにできるものではなかったですね。

── 沸いてきたイメージとは?

玉木:少し語弊がありますけど、無機質というか、中性的というか、人間だということを感じさせない機械的な部分が結城にはある。タイで撮影を行うことがあったのですが、そのときも汗や顔のつやを見せたくないと思いました。そういったものが見えると、人間的な体温を見せることになってしまいますから。

タイの人たちが常に温かくほほ笑んでいてくれた

玉木宏

── 玉木さん自身、あまり汗をかかないタイプですか?

玉木:いや、それがものすごくかく方なんですよ。

―― では、暑いタイで結城を演じるのは大変だったのでは?

玉木:そうなんですよね。ただ、タイでは主にアクション・シーンの撮影を行ったんですが、僕の役自体には、さほど大きいアクションがなかったので良かったです。冷静な結城に振り回され、周りの人間たちが奔走する……というシーンだったので。刑事役の石橋凌さんは、結城を追って走り回る役どころだったので大変そうでした。石橋さんの立場だったら、汗をかかないでいるのは無理ですよね(笑)。

―― タイでの撮影はいかがでしたか?

玉木:日本と違う環境で1か月ほどを過ごすというのは、それだけで体力を必要としましたね。でも、タイの人たちって、ほほ笑みの国だけあって、どんなときでも笑って見守っていてくれるので、撮影のときには心強かったです。タイでの撮影とはいえ、スケジュールは日本式だったので結構過密だったんですけど(笑)、そんな中でも温かくほほ笑んでいてくれました。

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