・都議選で自民が敗退 ~衆院選に向けて自民党にとって一番有効な対策は~
テーマ:日本・政治問題民主、都議会第1党…与党が過半数割れ:読売
都議会「第1党」を目標に掲げていた民主は、順調に得票を伸ばし、50議席の大台を超えた。前回選挙で議席を取れなかった中央区、荒川区、三鷹市などで当選。42選挙区のうち38選挙区でトップ当選を果たし、全体の得票率は4割を超えた。
一方、自民は、1人区の千代田区で元議長のベテラン現職が落選。台東区や府中市などでは現職が議席を守ったが、足立区で現職の都議会幹事長が落選するなど、得票が伸び悩んだ。前回より10議席減らして38議席となり、これは、過去最低だった1965年(当時の定数は120)と同数。
自民が都議会第2党に転落するのは、議長選を巡る汚職事件を受け「出直し選挙」となった65年以来。69年に奪還してから40年守り続けた第1党を明け渡した。
前回の当選者数と同じ23人を擁立した公明は、組織票をもとに、目標としていた5回連続の全員当選を果たした。
現有13議席以上の獲得を目指した共産は、新宿区などで当選したが、5議席減らし8議席に落ち込んだ。
地域政党の東京・生活者ネットワークは、協力関係にある民主から、公認候補5人全員が推薦を受けたが、当選は2人にとどまった。社民は、8年ぶりの議席回復を目指して2人を擁立したが、果たせなかった。
都議選は知事選と2年ごとに行われ、都政の「中間審判」の意味合いが強く、都が1000億円を出資して設立した新銀行東京の経営問題や、都築地市場(中央区)の移転問題などが争点となっていた。
注目されていた都議選の結果が出ました。自民に公明を加えても過半数には3議席足りず、自民党の設定した勝敗ラインを割り込みました。速報が始まった当初は、民主党だけで単独過半数かとも思える票の伸びでしたが、結果は与党対野党で5議席差となりました。しかしながら、共産党を除けば野党の議席数は59となり、過半数に足りません。共産党は必ずしも民主の味方と言うわけではないため、今後の都政は共産党の意向次第という微妙な現象になることもあるかもしれません。しかしいずれにせよ大きく票を落とした自民党は、誰の目から見ても敗北と言えます。
今回は都議選とは言え、国政へ対する大きな世論調査という性格を持っていることは否めません。これから何の変化もないまま、間髪をいれずに衆院選挙を行えば似たような結果になる可能性は非常に高いと言えるでしょう。自民党は今回の結果を受けて、衆院選に対する作戦を練り直す必要に迫られます。
今回の結果を見ると、残念ながら最近のわが国の国民(特に無党派層や政治に興味が無い層)はマスコミが作り出すイメージや、単純な人物人気に操作され易いというのが証明されつつあります。今回の都議選の結果のみならず、あれだけ世間の批判を浴びた小沢氏の政治献金問題で民主党の支持率が一時は地に落ちたにも関わらず、問題が何も解決していないまま、あろうことか同じ問題を抱える鳩山氏と席替えをしただけで民主党の支持が一気に回復したことや、首相にふさわしい人物として、野党の人物ではなくいまだに小泉氏の名前がNo1に挙がっている点を見れば、それは明らかです。
さて自民党は、民主党に政権を執らせないために衆院選をどう戦ったら良いのでしょうか。麻生総理は明日にも解散する可能性に触れているようですが、私はそれは愚策だと思います。今解散しても待っているのは都議選と同じ結果でしょう。何か対策をしなければならない。では何が有効な対策なのか。時間はあまりありません。手っ取りはやい対応は何か。賛否両論あると思いますが、あえて言えば、今すぐ総裁選を行うことが一つの大きな対策になり得ます。
麻生総理は残念ながら国民に人気が無い。私は麻生総理がこれまでに特別致命的な失策を犯したとは思いませんが、マスコミや野党の麻生叩きが非常に有効だったのもあり、国民には全く人気が無い。そこで、選挙前に麻生氏を降ろし、新たな国民に人気のある”顔”を立てる。何の根本解決にもなっていませんが、イメージに流されやすい国民には多少なりとも有効な手段となりえます。”都議選敗退の責任を取る”と言えば、十分な理由になります。正直、これをやっても勝てるという保証はありませんが、今の体制のまま臨むよりは結果に期待が持てます。前述の通り、これは選挙対策の小手先に過ぎず、何の解決にもなっていませんが、今のわが国の国民に対しては有効な手段であることは間違いません。民主党はつい先日全く同じことをやっています。決して自民党だけの卑怯な手段とは言えないでしょう。まずは民主党政権を防止するという目的を第一と考えれば、私はこれをやっても良いのではと思います。
自民党内ではこの選択肢を含めて、この二日間で詰めた議論が行われることと思います。自民党がどういう動きに出るか。ここ数日に注目です。
参考書籍:
自民党―政権党の38年 (中公文庫)
北岡 伸一