大分県教委汚職初公判、多くの県民が関心
大分地裁で4日に開かれた県教委を巡る教員採用汚職事件の初公判。2008年度に採用された教員21人の採用を取り消すという前代未聞の事態に発展し、法廷へと移った事件を、多くの県民が関心を寄せて見守り、事件の全容解明を望んだ。
初公判の抽選券の配布は大分市のコンパルホールで午前9時ごろから始まった。地裁が用意した58席分に対し、375人の行列ができた。
市内で約50年にわたって学習塾を経営していた平フユさん(71)は「教員になった教え子も多く、身近な問題として事件を感じている。司法がこの問題をどこまで追及できるのか興味がある」と語った。
別の同市の女性(76)は「日本の未来を担う子どもたちに言語道断なことをして許せない。これを機に、うみを出してしまわないといけない」と厳しい表情。同市の男性(72)も「いろいろな報道がされてきたが、検察側には、(県教委)上層部からの指示など今まで表面化していない汚職の全体的な構図を明らかにしてもらいたい」と話した。
一連の事件で校長と教頭4人が起訴された佐伯市では、市教委で職員たちがインターネットのニュース速報をチェック。
市立小の元校長・浅利幾美被告(52)が、教員採用試験の結果に手心を加えられることなく合格した長女(23)についても、便宜を図ってもらうよう元県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)に依頼していたことが分かり、ある職員は「点数の改ざんがなかったとはいえ、(長女は)道義的な責任を問われるのではないのか」と困惑した表情。
市内の40歳代の男性教諭は「教師は子供たちに、勉強だけでなく人としての生き方も教えなければならない。親の不正を知らなかったことには同情するが、教壇に立ち続けられるのはどうか」と話した。
(2008年9月5日 読売新聞)