2009年7月14日
親と離れて児童養護施設などで暮らす子どものうち、約5割が父母らに虐待された経験があることが13日、厚生労働省の児童養護施設入所児童等調査でわかった。5年ごとの調査で、虐待経験を調べたのは初めて。
08年2月1日現在、入所や里親委託の児童は全国で4万1602人。03年の前回調査より3284人増え、1970年以降初めて4万人を超えた。このうち育児放棄や暴力など、虐待された経験がある子どもは約2万1千人いた。
施設別では、心理療法の必要度が高い子どもが入る情緒障害児短期治療施設(入所者1104人)が72%と最多。非行児童のための児童自立支援施設(1995人)は66%、主に2〜18歳が暮らす児童養護施設(3万1593人)は53%、主に0〜1歳を養育する乳児院(3299人)と、里親家庭(3611人)がいずれも32%だった。
入所や里親委託の直接の理由で最も多いのも「虐待」で、33.9%(前回比5.5ポイント増)。「母の精神疾患」「経済的理由」「母の行方不明」などが続いた。
また、障害のある子どもは前回より2295人増の1万588人で、4人に1人の割合だった。障害がある場合、養育の負担が大きく、虐待につながる可能性があると指摘されている。
柏女霊峰(かしわめ・れいほう)・淑徳大教授は「虐待され、心に傷を負った子どもは、周囲の人々と関係をうまく築けなかったり、特定の施設職員を怒らせるような言動をしたりする。特性を踏まえた専門的な援助が必要だ」と話している。
ここから広告です
広告終わり