パキスタン軍の武装勢力掃討作戦から逃れた国内避難民250万人の9割が、政府管理のキャンプへの入居を忌避している。うち150万人の受け入れを提唱した北西辺境州マルダン地区のアジマール・カーン評議会議員(42)に、避難民の生活状況などについて聞いた。【マルダンで栗田慎一】
--提唱の理由は。
◆(激戦の)北西辺境州スワート地区から逃れてきた人々が路上生活を始めた。「行くあてがない」と言う。議員仲間に食料や住居の提供を呼びかけると、住民たちも賛同してくれた。同じパシュトゥン人として放っておけないのだろう。
--政府がキャンプを設置しているが。
◆高原で自給自足に近い生活をしてきた人々に、プライバシーの無いテント暮らしは無理だ。毎日、長い列に並ばせる水や食料の配給方法も自尊心を傷つけている。戦闘で家族を失った人々もいる。だから地区内の一般民家や公共施設で受け入れることにした。
--受け入れ費用は。
◆大半は受け入れ家庭の持ち出しで、地元の援助団体も支援を開始した。日本など国際社会が避難民を支援していると聞くが、末端には届いていない。キャンプが忌避されている現実を知らされているのだろうか。
毎日新聞 2009年7月3日 21時13分