(CNN) 2001年にアフガニスタンのイスラム強硬派タリバーン戦闘員1000人近くが、米国が支援していた反タリバーン武装勢力「北部同盟」に投降した後で死亡した事件について、オバマ米大統領はブッシュ前政権が武装勢力指導者の取り調べに抵抗していた可能性を調査するよう指示した。大統領が先日、アフリカ西部ガーナで応じたCNNの単独インタビューで語った。
オバマ大統領は事件について適切な捜査が行われていない点に先日気付き、安全保障担当チームに対して事実収集を要請したことを明らかにした。事実を確認次第、取り組み方法を決める方針という。
投降したタリバーン戦闘員は、ドスタム将軍率いる部隊に拘束されていた。社会主義政権時代の軍人であるドスタム氏は1980年代、米国が支援していたイスラム戦闘員と交戦。その後アフガン政局の混迷を経て転向、同時多発テロを受けてアフガン軍事行動に乗り出した米国を支持し、米軍や米中央情報局(CIA)の支援を受けてタリバーンと戦った。
ドスタム氏がタリバーン戦闘員の大量死に関与している疑惑は、2002年の米誌ニューズウィークの記事で最初に浮上。同誌は国連の機密文書の内容として、拘束されたタリバーン戦闘員が北部クンドゥズからシェベルガーンの拘置施設に移送される際、コンテナトラックに押し込められて死亡したと伝えた。ボストンを拠点とする医師の人権団体は当時、戦闘員らが埋葬されたとの目撃情報があるダシッテレイリで集団墓地を発見したと指摘。アフガン軍事行動を指揮したトミー・フランクス中央軍司令官(当時)はドスタム氏に関する調査を支持した。
しかし10日付の米紙ニューヨーク・タイムズが政府関係筋や人権団体関係者の発言として伝えたところによると、当時のブッシュ政権は「調査に向けた努力を繰り返し阻止した」とされる。同紙によると、米国務省は先日、ドスタム氏のアフガン国防相再任を頓挫させようとしていた。複数の米政府高官は、アフガン政権が米国側の調査に反対しないとの認識を示したという。
ドスタム氏は政敵となった元同盟相手を誘拐した疑いを持たれ、トルコで亡命生活を送っていたが、先月アフガンに帰国し、国防相に復職したとされる。