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Hot journal:2009.6.17 from田中良紹

政権担当能力とは何か(下)

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 しかしこうした「政権担当能力論」は世界の常識とかけ離れている。麻生総理の指摘は「官僚のご機嫌を伺わないと政治が機能しない」と言っているようなもので、税金で養われる官僚を国民の代表たる政治家が指導・監督してこなかった異常さをそのまま表現している。政策を官僚に丸投げしてきたために起きた政と官の主客転倒は、それこそが自民党の政権担当能力のなさを証明する話である。

 次に「民主党の政策には現実的な裏付けがない」との批判だが、「政策」を殊の外に重視するこの国の政治感覚も相当に世界の常識とは異なる。どこの国でも政権を握るまでの野党は現実よりも理想に近い公約を掲げる。そうしなければ現実に権力を握っている政権を選挙で倒すことは難しい。しかし選挙に勝利して政権を担当する立場になると、どの国の政党も理想を現実に近づける。

 例えばアメリカのクリントン政権は初めはリベラルな政策を掲げた。しかし国民の支持が広がらないと見るや、一転して共和党の政策を大胆に取り入れ、中道路線に転換した。そもそもクリントンは無名に近い田舎の州知事で、政権担当能力は全く未知数だったが、当選できた理由はクリントンの政策よりもブッシュ政権に対する国民の不満である。

 要するにどんなに経験豊富な政権でも、国民が政治に不満を感ずれば、政権交代をさせるのが民主主義であり、新政権の政権担当能力に疑問を感ずれば、国民はまた不満の声を上げれば良い話である。それで政策が修正されれば良し、されなければ次の選挙で再び政権を交代させる。民主主義とはそれだけの話である。だから未知なるものをあれこれ詮索しても始まらない。

未知なるものを詮索するよりも、現実に見える現政権の政権担当能力を吟味し、それを継続させるかどうかを判断する事が国民に必要な作業である。そして政権担当能力とは、政策の中身でも経験でもなく、政局を制する能力と国民の信任を得る能力で、世界の政治はそうして動いていると知るべきである。






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田中良紹
田中良紹
(ジャーナリスト)

1945年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同年(株)東京放送(TBS)入社。

ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。

1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

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