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「逃げるウイグル族に警官が何発も発砲」…緊張走るウルムチ

7月14日10時14分配信 産経新聞

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)=河崎真澄】5日に大規模な暴動が起きた中国新疆ウイグル自治区のウルムチ市で、漢族とウイグル族の間に再び「緊張」が走っている。警察当局の発砲で13日、ウイグル族住民2人が死亡する事件が発生したためだ。

 地元警察は13日午後2時55分(日本時間同3時55分)ごろ、同じウイグル族を相手に暴力事件を起こしていたとして、市内中心部の解放南路で3人のウイグル族住民に「法に基づいて」(当局発表)発砲し、このうち2人がその場で射殺され、1人は負傷して病院に運ばれたと発表した。

 事件後、武装警察によって封鎖された解放南路に裏路地を伝って入った。いつもなら屋台でにぎわうこの通りは閑散としており、不安げな表情で様子をうかがうウイグル族住民の姿が目に入った。警察による発砲はウルムチ市中医(漢方)医院前で起きたもようで、付近には数百人の武装警察が配置され、立ち入りが厳しく制限されていた。

 ウイグル族の女性に話を聞くと、「若い男3人が逃げまどう中、漢族の警察に何発も撃たれた」と語り、威嚇射撃をしたにもかかわらず暴力行為をやめなかったため射殺したとする警察当局の説明を否定した。当局側は射殺された「容疑者」の性別や年齢、氏名など詳細は公表していない。

 集合住宅の警備員を務める男性は、「太ももを撃ち抜かれて射殺された。撃たれた理由? 日本人記者ならそんなこと、聞かなくても分かるだろう」と怒りをあらわにした。話を聞いたあとに、この男性に中国製のたばこ「中南海」を2箱渡そうとしたら、「日本のたばこなら喜んでもらうが、中国製ならいらない」と断られた。地元住民は当局の発表を信じていないだけでなく、漢族に対する反発や不信感も深めている。

 一方、現場の医院前でこの日の事件について話をしていた漢族の住民に「何があったのか?」と聞いてみると、「特別なことは何もなかった」と鼻で笑いながら答えた。

 この射殺事件をきっかけに「次の行動」がウイグル族住民の中から生まれるかどうかは予断を許さない。5日の大暴動は、遠く離れた広東省の玩具工場で漢族の従業員がウイグル族を襲撃した事件が発端とされる。それが、今回は地元で警察によるウイグル族射殺事件が起きた。経緯はどうあれ、ウイグル族には漢族による「武力弾圧」と映り、新たな火種となりかねない。ウルムチをはじめとする新疆ウイグル自治区では一段と緊張が強まっている。

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最終更新:7月14日10時14分

産経新聞

 

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