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就職で返済免除、利用者の4%未満 政府の派遣切り融資

2009年7月4日

 派遣切りなどで仕事も住まいも失った人の再就職を支援する国の就職安定資金融資制度で、安定した職に就いて返済を一部免除された人の割合が利用者の4%に満たないことが分かった。政府は事実上の景気底打ち宣言をしたが、不況の直撃を受けた非正規労働者が再就職できていない現状が浮き彫りになった。失業状態のまま、融資の返済ができない債務者が大勢出る事態も想定される。

 この制度は国の緊急雇用対策の一環として昨年12月22日に始まった。敷金・礼金や引っ越し代、家賃に加え、生活費などとして最高で186万円が年利1.5%で借りられる。就職して雇用保険に加入すれば返済が一部免除される仕組みで、厚生労働省は「就職活動を一生懸命やってもらうためのインセンティブ(動機付け)」と位置付ける。

 だが、実際に融資する全国13の労働金庫に取材したところ、5月末までに融資を受けた8244人(融資額計57億円)のうち返済免除者は303人で、利用者の3.7%にすぎない。厚労省は6月末、非正規労働者の離職者のうち3割が再就職したと発表したが、この制度の利用者は一層厳しい状況にあることがうかがえる。

 地域別(労金別)の免除率は、融資が2007件の中央(1都7県)で1.9%、九州(7県、347件)は4.9%だった。

 全国労働金庫協会によると、貸し出しのピークは2月と3月で、それぞれ2千人強が利用を始めた。融資後半年間は元本の返済が猶予されるが、今後、猶予期間が切れる人が増える見通しだ。

 厚労省の試算では、186万円を借りて免除を受けない場合、返済期間を10年とすると月々1万5千円を超える支払いが必要となる。同省就労支援室は「再就職できないと返済と生活費の負担が重なり、再び住居を失う恐れもある。利用者にはハローワークでの就職支援を続ける」としている。(河口健太郎)

     ◇

 ■就職安定資金融資 派遣切りなどにより住む場所を失った失業者を対象とする緊急雇用対策。(1)敷金・礼金、転居費など(上限50万円)(2)家賃補助(上限月6万円・6カ月)(3)生活・就職活動費(上限月15万円・6カ月と身元保証料10万円)を全国の労働金庫が貸し付ける。返済が免除されるのは、敷金を除く(1)全額と(3)の半額。国の09年度予算に事業費200億円が計上されており、焦げ付きや債務免除の大半は国が負担する制度になっている。

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