中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索

小児救急医療体制に課題 1―4歳で高い死亡率 '09/7/13

 改正臓器移植法が13日成立し、小さな子どもの移植に道が開かれたが、臓器提供の大前提となる小児の救急医療の体制は十分とは言えず、重症患者に必要な治療をできるようにすることが、これまで以上に重要になる。

 日本小児科学会の横田俊平よこた・しゅんぺい会長は「小児の集中治療を専門的にできる医師、施設は限られている。十分な治療を受けたと親が納得できなければ、子どもからの臓器提供はあり得ず、基盤整備が必要だ」と話している。

 世界保健機関(WHO)のまとめなどによると、日本の新生児、乳児の死亡率は低く、1〜4歳の幼児の死亡率は主要先進国の平均を上回る。過去の厚生労働省研究班の調査では、受け入れ体制が必ずしも十分とは言えない中小規模の医療施設で死亡している幼児が多いことが示唆された。最も多いのは不慮の事故だ。

 病院では、泣き叫ぶだけの子どもの症状を的確に診断したり、体の小さな子どもの気管に人工呼吸用のチューブを挿入したりする専門的能力が求められ、「多くの患者が必要な治療を受けられず死亡しているのではないか」との懸念がある。

 厚労省によると、全国200カ所あまりの救命救急センターのうち、9割近くは小児を受け入れていると推定されるが、小児専門病床があるのは6施設(19床、2007年まとめ)。

 また子ども専門病院で、より適切な治療が期待できる小児集中治療室(PICU)があるのは12施設(108床、08年現在)。さらに300床以上のPICUが必要との試算もある。

 厚労省は、各地の救命救急センターに小児専門病床を設置するなど体制整備を進める方針だが、小児科医不足の中、専門医の養成に時間がかかるなど課題は多い。




HomeTopBackNextLast
安全安心