河北春秋

 喜多郎さんの哀調を帯びたシンセサイザーの音色と、石坂浩二さんのゆったりした語り。NHKの紀行番組「シルクロード」に魅了された人にとっては、悲しいニュースが入った▼楼蘭やトルファンなどシルクロードの遺跡が残る中国新疆ウイグル自治区で、大規模な暴動が発生した。区都ウルムチでは、150人以上の市民が犠牲になったと伝えられる。中国の建国以来、最大級の民族衝突となった

 ▼同自治区は、面積が160万平方キロと日本の4倍以上あり、中国の約4分の1を占める。9世紀ごろからトルコ系のウイグル族が住み、1955年に自治区となった。新疆とは「新しい土地」を意味する▼その新しい土地で、なぜ暴動が起きたのか。詳細は不明だが、広東省の工場で6月、ウイグル族労働者が漢族に殴り殺される事件が起きた。それが引き金になったという

 ▼長年、民族間の争いが絶えず、北京五輪の直前、警察官17人が死亡する襲撃事件も起きた。中国は同じくチベット問題を抱える。昨年春の暴動は記憶に新しいが、暴力の連鎖だけはご免である▼東西の人々が交流し合うシルクロードは、平和の象徴でもある。喜多郎さんの曲をバックに、ラクダに乗った隊商が悠々と中央アジアを横断する。そんな平和なイメージが実現する日はいつだろう。

2009年07月08日水曜日

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