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【パチンコ店放火】「臨界点」(下) 冷たくうつろ…元同僚ら表情に驚き 生活苦で“宝物”も処分

2009.7.13 07:39
このニュースのトピックス火災・爆発・放火
高見素直容疑者高見素直容疑者

 雨が降る7月8日午前、高見素直容疑者(41)は此花署から送検される捜査車両の後部座席に収まっていた。テレビを見た運転手仲間の元同僚(51)は、冷たくうつろな目つきに変わってしまった表情が信じられなかった。

 「まるで鬼のような形相。僕の知っている高見さんじゃない。僕らは危険物の知識があって、彼も火の付いたガソリンが専用の消火器でないと消せないことぐらいよく知っている。完全に殺す気でやったんかと思うと恐ろしい」。温厚で決して怒ることがなかったかつての姿はどこにもなかった。

   ■ □ ■

 昨年7月、勤務していた此花区内の石油製品販売会社が、不況のあおりで資金繰りが悪化、給料の支給が遅延する事態に陥った。高見容疑者に支払われた給料は半分だけ。しかし苦境に立つ会社から、運転資金として約30万円を貸してくれと頼まれると、「わかりました」と言って断らなかった。

 30万円はすぐに返してもらったが、給料の未払いはそのまま。そんな会社に見切りを付けて9月に退職した。

 「まだ40万円ほどもうてないんよ。もうあきらめようかと思っているんやけど」。そう打ち明けられた同世代の元同僚は「社長にちゃんと言ったほうがええで」と忠告した。「そうなんだけどねえ」とうなずくだけの高見容疑者。元同僚は「何てのんびりした人だ」といらだちすら感じた。

 言うべきことを言えず、遠回しにしか相手に伝えられない。高見容疑者は給与の未払いを会社ではなく、労働基準監督署に相談した。労基署から指摘を受けた社長が「すまんなあ、ちゃんと払うから」と謝ると、「いつでもいいですよ」と怒ることもなく答えた。

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 その後、此花区でやっと見つけた食品の配送の仕事も3カ月働いただけで4月末に退職した。「10トントラックに乗る条件だったが、4トンしか乗せてもらえない」との理由だった。

 10代のころから車が好きで、広島市内の中学校時代の同級生たちと数え切れないぐらいドライブをして遊んだ。自然、タンクローリーやトラックの運転の仕事に就いた。福岡や鹿児島などの会社を転々としても運転手の職種だけは変えなかった。

 事件の1カ月前、それまで一度も連絡がなかった高見容疑者から別の元同僚の携帯電話が突然鳴った。「風俗店の呼び込みでもしようかな」。運転手の仕事をあきらめた高見容疑者の声に力はなかった。

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 生活はぎりぎりだった。事件の4日前には、趣味のゲームソフト11本を2万4千円で中古ソフト店で売った。九州時代に唯一楽しみにしていた釣り道具も8万円で処分した。まるで過去の自分と決別するかのようだった。「人を殺したい」と思うようになったのはこのころだ。

 5日午後、犯行後に一度帰宅してシャワーを浴びた。身ぎれいにし、着替えは持たずに部屋を出た。そのまま電車で中国地方へ向かい、翌日山口県警に出頭した。

 「九州ではね、よくお酒のみながら釣りをしたりね。気持ちいいし楽しかったんよ」。西へ西へと向かったのは、気ままに暮らしていた九州や、生まれ育った広島のことが脳裏に浮かんだからなのか。

 300万円ほどの借金で自暴自棄になったのは、誰よりも早く出社し、事務所も率先して掃除するきちょうめんさが、自己破産という選択肢を許さなかったからなのか。

 此花区の石油製品販売会社に高見容疑者を紹介した元同僚(45)は「おれも責任があるのかと、寝ていても事件のことを考えて目が覚める。一度でも電話してくれたら、『苦労しとんのは、お前だけちゃうから辛抱せいよ』と励ましたるのに」と涙を流しながらこう続けた。「もし裁判に呼ばれて証言台に立ったら、遺族を前にして『高見さんはいい人でした』なんて言われへん」

このニュースの写真

高見素直容疑者
逮捕され新大阪駅に着いた高見素直容疑者=6日午後、JR新大阪駅(撮影・前川純一郎)
送検されるパチンコ店放火殺人事件の高見素直容疑者=8日午前10時28分、大阪市此花区(塚本健一撮影)
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