2009年7月13日
テレビアニメ「鉄腕アトム」の効果音を担当し、日本の電子音響の草分けとされる音響デザイナー・大野松雄(79)の音づくりが、「懐かしい未来の音」として若い世代の注目を集めている。「アトム」の効果音のCDが発売され、7月には東京で初のライブもある。
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「アトム」の放送は63〜66年。大野は宇宙空間や無重力、ビームなどを表現する効果音をつくりだした。アトムの「キュピッ、キュピッ」という独特の足音は、マリンバの音をテープに録音し、手動でリールを回して再生した音。サーチライトが点灯する音は、自分の「パーッ」という声を録音して加工した。
単調な電子音を録音し、テープの回転数を変えたり、様々な波長の音を録音したテープを切り張りしたりする技は職人芸とも呼ばれる。
「アトム」の原作者・手塚治虫の生誕80年にあわせて6月には、75年発売の効果音を集めたアルバム「鉄腕アトム・音の世界」がCDとして復刻された。7月14日午後7時からは東京都港区の草月ホールで〈東京の夏〉音楽祭の一環としてライブを開く。ステージ上で2台のテープレコーダーを駆使し、電子音を繰り返し録音してエコーをかけるなど「アトム」当時のアナログ技術による音づくりを実演するという。
ライブ「大野松雄〜宇宙の音を創造した男」の問い合わせはアリオンチケットセンター(03・5301・0950)。(今井邦彦)