2009-02-16 宇宙戦艦トーシン冷熱 2
発泡液に包まれた戦艦IHIはどこへともなく漂って行った。固まった発泡に包まれたならば、もはや脱出もなにも出来ないのだ。
トーシンではクルーたちは飛び跳ねて騒いだ。
星野は眼鏡があごまでズレてはしゃいでいる。
星野「やったよぉ!四人くらい死んだけど、どうってことないよぉ!」
クルーはビールかけをはじめた。トーシンではVT30Cのカランアームをはずしたものを使う。そのビールサーバにエアーをかけるとビールの霧が噴出した。
みんなは存分にビールに濡れた。
ビールかけが終わると、どこからともなく蕎麦つゆクーラー二号が出て来た。
改良型の二号は、なんと蕎麦つゆと蕎麦が一緒にカランアームからニョロニョロ出て来るのだ。
しかも打ちたてだ。攪拌モーターがそば粉を捏ねてくれるのだ。
木村がコックをひねるが蕎麦が出ない。
「あっこれカランアームのところ、穴がない」
「また設計ミスかよぉ!」
その瞬間蕎麦つゆクーラー二号が爆発した。みんな打ってすらいないそば粉をあ
びた。攪拌モーターがそば粉に届かない設計ミスだった。
爆発で近藤三等兵が死んだ。
「あ〜あ近藤君死んだ」
蕎麦つゆクーラー二号のせいでみんな暗いムードになった。
星野「オサカベ君と朝倉君と秋元君は二階級特進で一等兵にしようか」
木村「向井は?」
星野「あれは、事故だ」
木村「近藤君は?」
というわけでみんなの遺体は宇宙に棄てられた。
「来た来たぁー!」
古川が叫んだ。窓の見ると白い物体が宇宙空間に浮いている。
「向井のマスクだ!」
星野はマスクを回収することにした。
「形見だからな。よし、湯沢スティック二号だ」
ボクソンの水槽の中に落ちたビスを取るためのあの長い棒を巨大化したのが湯沢スティック二号だ。
湯沢スティック二号で星野はマスクを回収した。
「さあみんな、寝ようぜ」
クルーは全員発泡室に行った。発泡を固めた発泡ベッドで眠るのだ。
「緊急事態発生」
コンピュータのアナウンスだ!
「空気減少・空気減少」
どうやらケーシング戦闘機のボルト砲で穴が開いたらしい。みんなは急いで漏れ探知液で穴を探した。そしてコーキングでふさいだ。
クルーが熟睡しているとトーシンが揺れた。
「なんだ!」
星野が窓を見ると、なんとそこは宇宙空間ではなかった。
「きっしっし!」
都築だ!
「ここはボススターですよ。トーシンの皆さん」
ボススターは馬場星最大の戦艦だ。寝てる間にその格納庫に回収されてしまったのだ。
都築「さあ降りて来い!」都築は巨大な銃をかまえた。都築の部下数十人も同じだ。
クルーたちは手をあげてトーシンを降りた。
「きっしっし!俺の勝ちですね!」
都築が銃を持って星野ににじりよった。
「お助け〜」
星野は泣いた。
都築は銃を星野の額に押し当てた。そしてひきがねをひいた。
ぎゅるぎゅると音がした。星野の額が焼け焦げた。見ると銃ではなくて電気ドライバーだ。5×4のビスが額で回転していた。
「あづづづ!」星野の額から煙が吹き出した。
「やーめーれー」
「きっしっし!」
周りではトーシンクルーが都築の部下に同じように額を焦がされて泣き叫んでいた。ただし古川だけは「焦げちゃったなぁ〜あぶないあぶない」と笑っていた。
「きっしっし!…あら?」都築のドライバーがうごかなくなった。
「充電の時間か、運が良かったですね星野さん…あとでベース用の長いドライバーでとどめと行きましょうか。おい」都築の部下がトーシンクルー全員をインシュロックで縛り上げた。
「くっそぉ。充電が終わったらみんな殺されてしまう」星野は歯がみした。「都築にだけは殺られたくない!(涙)最悪の展開だ。」そして星野は泣いた。
周りを見ると都築の部下たちもいなくなっていた。脱出のチャンスだ。みんなは必死にインシュロックを切ろうとしたが、がっちり縛られ動けない。
50分もしたら殺されてしまう。みんな泣き叫んだ。
そのときだ。トーシンの中から全裸の向井が現れた。
「うわぁ南無阿弥陀仏」
「オバケ」
全裸にマスクだけの向井は星野に近寄った。
「なにしてるんですかぁ」
星野は叫んだ。「そうかっ、向井は単細胞だからマスクに付いてた細胞から分裂して復活したんだ!」
「星野さぁん」
向井は星野に接近した。向井の股間が星野に迫った。
「ぎゃあああ!ちかずかないで」
「なにがありましたかぁ?」
星野は至近距離の股間に向かってしゃべった。
「このいましめを、インシュロックを解いてくれ」
「あっはい」
向井はトーシンに入って発泡の型を温めるヒーター(通称ドライヤー)を持って来た。
向井は星野にドライヤーを押し当てた。星野から煙がもうもうと吹き出した。
「ああああああああ!あづづづ!なにをする」
「インシュロック溶します」
「ばか野郎ニッパー持って来いって」
向井がニッパーで星野を自由にした。そして全員を解放し、急いでトーシンの発泡エンジンを起動した。
「きっしっし!」都築はボス室で黒い鎧とマントを身に着けた。ボースベイダーだ。
「ボス!トーシンが動いてます!」
「なっなにぃ」
星野は格納庫の扉を、トーシンの屋根の巨大攪拌モーターで破壊し一気に宇宙に逃げた。
「やったぁ!脱出だぁ」
脱出したクルーたちはやったやったと大騒ぎした。窓の外を石沢さんが双眼鏡でみていた。
窓の外にはボススターが見えた。トーシンの50倍はありそうだ。しかも都築の顔がペインティングされていた。
「気持ち悪いから発泡砲だ」星野は叫んだ。
そのときだ。NHKしかうつらないはずのテレビがついた。「きっしっし!」都築だ!
「よくぞ逃げられたものですね。まあそこはコングラチュレーションと言っておきましょうか…でも発泡砲とやらは効きませんよ」
な、なにぃ?都築の横に向井が現れた。
「向井君なぜそこに?」
「星野さんが置き去りにしたからですぅ」
「きっしっし!向井君に発泡砲について聞きましたよ。ほらこれ」
都築がJET OILと書かれた容器を見せた。
「まさか離型剤か!」
「きっしっし!いま部下がボススターに離型剤を塗っているところだ。もう発泡砲は効かないのだ」
「おのれ向井」星野は叫んだ。「裏切ったな!」
「だって都築さんが親切なんですもの」都築は向井に「もっとおたべ」とちんすこうを渡した。
「あのバカちんすこうで買収されやがった!」星野は泣いた。
トーシンのクルーたちは向井への恨みでいっぱいになった。
「きっしっし!」
都築は勝ち誇った。
「考えたらあいつら通勤途中にはねられた二人じゃんか。そりゃ気が合うよな」
星野は嘆いた。
「きっしっし!それだけじゃありませんよ」
カメラが引いた。都築たちのいるボススターの格納庫がいっぱいに映された。
「あれはIHIか!」
なんと都築の部下がスクレーパーでIHIの発泡をこそげおとしていた。
「きっしっし!離型剤も塗ってIHI復活ですよ」
「くっそぉ!向井め…」
カメラが引いたから向井は全裸丸出しだ。
南雲がIHIから救助された。
「ボス!きっとトーシンに復讐して見せます!」
「南雲さん…あなたはもう不要です」
「えっ!?」
都築は南雲にインシュロックを巻き付けて、ドイツのインシュロックカッターの通称ピストルで南雲を縛り首にした。
「ぼ…ボスぅ」
南雲は死んだ。
「むごいことを!」星野は言った。だがちょっと喜んでいた。
「きっしっし!向井君…」
「あっはい」
「君がIHIの新艦長だ」
「あっはい」
向井がIHIに乗り込んだ。
「ちんすこうのためにトーシンを沈めますよぉ」
「いっいかん!」星野はあせった。IHIとボススターを相手にできるはずがなかった。
「退却だ」
慌てて逃げるトーシン。だが向井が操縦する戦艦IHIは縦回転で高速で迫って来た。
「来た来たぁー!」
「わかってるわい!」
発泡砲が通用しないとなると撃破せねばならない。だがあの巨大な戦艦をリベット砲で破壊可能だろうか?
「無理だー」星野は泣いた。
「しかたないな!153Cサイドフレーム砲だ…」
そのときだ…IHIからまたもやケーシング戦闘機がやって来た。その数50機!
「うわぁ!もうだめ」星野は泣いた。ボルト砲でトーシンは粉微塵になるだろう。
西村「星野さん…東光カート用スターファイターズを出しましょう」
星野「なっなにそれ」
なんとトーシンの駐車場に戦闘機が三機あった。
西村「いまできたところです」
星野「やったやった」
及川「私が設計しました…なんですかその目は?」
クジ引きで戦闘機に乗る人を選ぶことになった。
吉崎、古川、曾根が選ばれた。
古川「来た来たぁー!」
吉崎「まじかよ〜死んだ〜まあいいや。俺30までに死ぬから」
曾根「出番かぁー!」
dodoitsuga
2009/02/17 22:07
gagaga