「大相撲名古屋場所」(12日初日、愛知県体育館)
舌戦バトル第2ラウンドが幕を開けた。横綱朝青龍(28)=高砂=が9日、愛知県春日井市の春日野部屋へ出向き、連続16番の申し合いを行い全勝した。この日で出げいこは打ち上げ。「少し光が見えた」と、笑顔で3場所ぶりの優勝へ自信をのぞかせた。だが取材に訪れていた相撲解説者の元小結・舞の海秀平氏(41)は「体がしぼんだ。優勝争いは厳しい」とバッサリ。初場所前に「顔じゃない」と斬り捨てられたお返し!?とばかりに、厳しく指摘した。
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盤石の打ち上げ-となるはずだった。朝青龍は“お気に入り”の春日野部屋へ、今場所前4度目の出げいこ。平幕の栃煌山と栃ノ心、栃乃洋を相手に連続16番の申し合いを行った。
「向こうに行け、おらっ」と怒鳴りつけて報道陣をけいこ場から遠ざけるなど、土俵入り前から闘志満々。土俵に入るとさらに気合が高まった。厳しい攻めから一気の寄りを見せたかと思えば、鮮やかなけたぐりや内無双を披露。最後は豪快に192センチの巨体・栃ノ心をつり出し「よし、終わり」。最後の出げいこを16戦全勝で締め、気持ち良さそうに汗をぬぐった。
今場所前のけいこでは秀逸の内容に「少し光が見えたね」と納得の表情を見せ、「(優勝を望む)ファン(の期待)に応えられるような状態にもっていかないと。テンションもね」と意気込んだ。優勝の自信を問われると「舞の海秀平さんに聞いたらどう」と、取材で訪れていた舞の海氏に話を振った。「動き、すごく良かったです」との評価を聞くと、にこやかに握手を交わし、上機嫌で車に乗り込んだ。
ところが舞の海氏は、横綱の姿が消えた途端「体の張りがなくなりましたね。驚きました。(夏場所から)1、2カ月でここまで(筋肉を)落としてしまったのは理解できない」と評価を一変させた。
「調子が良ければ、もっとほかの部屋へ出向くはず。けいこ場でもガンガン力を出す相手とやらないと」と“春日野入り浸り状態”にも苦言を呈し、さらに「優勝争いは初場所よりもっと厳しい。このまま優勝を逃すようなら引退という雰囲気になるかも」と言いたい放題だ。
初場所前には「顔じゃない」と舞の海氏を斬り捨てた朝青龍だが、これだけ言われたことを伝え聞いても「そんなこと気にしねえよ。あの人の予想はよく外れるし」と、笑って受け流していた。