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 フォーリン・アフェアーズ・リポート 2009年7月号要旨
フォーリン・アフェアーズ・リポート
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経済危機の長期化は避けられない
――市場経済モデルの衰退は地政学秩序をどう変えるか
 

ロジャー・アルトマン/元米財務副長官

 
「現在の経済危機は秩序を揺るがすグローバルな事件だ。世界経済の今後は全般的にきわめて憂鬱な状況にあり、状況を不安定化させるような深刻なリセッションが世界中を覆い尽くしている。しかも、この30年にわたって地球を席巻してきた市場経済資本主義、グローバル化、規制緩和というアングロ・サクソンモデルの時代が終わりつつある。・・・(今後を考える上で)重要なのは「深刻なグローバル・リセッションが長期化する」と考えられ、金融危機によって受けた大きなダメージゆえに世界の3大経済であるアメリカ、EU、日本が循環的な回復を遂げることはおそらくあり得ないこと、そして中国が明らかな勝者として台頭しつつあることだ」

論争 グローバル経済危機はいつまで続くのか
――日米、二つの経済バブルを検証する
 ロバート・マッドセン/マサチューセッツ工科大学国際研究センター シニア・フェロー
リチャード・カッツ/オリエンタル・エコノミスト・アラート誌編集長
 

今回の金融危機の原因はアメリカででたらめな住宅ローンが組まれた結果なのか、それとも、中国その他の過剰貯蓄が米市場に流れこんでバブルを発生させたのか。犯人は行き過ぎた規制緩和なのか、それとも「グローバル・インバランス」なのか。今後のグローバル経済の中期予測、そして規制強化をめぐるグローバル金融改革の方向性は、危機を引き起こした原因を何とみなすかで大きく違ってくる。以下は、フォーリン・アフェアーズ・リポート4月号に掲載したリチャード・カッツの論文『アメリカは「日本の失われた10年」と同じ道をたどるのか』に対するロバート・マッドセンのコメントとカッツの再反論。


CFRアップデート
中国経済は日本経済の救世主になれるか

 

ブライアン・クライン/米外交問題評議会国際関係フェロー

 

「日本経済の長期的な安定を実現するには、行き過ぎた輸出依存体制を根本的に見直す必要がある。輸出市場を次から次へと乗り換えるやり方では、国内における所得格差の拡大、家計貯蓄率の低下、機能不全に陥っている医療制度などの問題を安定的に解決することはできない。輸出は今後も引き続き日本の経済成長の主要なファクターであり続けるだろうし、輸入を支える外貨を獲得する原動力となることは間違いない。だが、このままグローバル・インバランスの影響を受けやすい「派生的経済体質」を温存するのは、日本のさらなる発展を阻む足かせになる」。


CFRミーティング
金融危機の教訓
ドルの暴落とインフレの危機がやってくる?

 

ベン・ステイル/米外交問題評議会(CFR)シニア・フェロー(国際経済担当)
セバスチャン・マラビー/CFR地政経済学研究センター所長

 「今回の(金融)危機の進展と政府の政策の余波は重なり合っている。たとえば、低所得世帯向けローン拡大策が、米投資銀行のレバレッジの拡大を招いた。・・・低所得世帯やマイノリティーの持ち家比率を上げることは政策の優先課題だった。ハイリスクローンの拡大を未然に防ごうとしても、おそらくそれを押さえ込もうとする政治的抵抗を受けていただろう。・・・いずれ米政府は自らが市場に吐き出した資金を吸い上げようと、最大1兆ドルの民間資産をあわただしく市場で投げ売りすることになるだろう。しかし、実際のFRBの行動は迅速性と積極性を欠くものになる可能性がある。そうなれば、米国債は大幅に下落し、長期金利の急上昇とドルの急落を招き、その半年後から1年後にはインフレ率が大幅に上昇することになる」。

フォーリン・アフェアーズ・インタラクティブ
「国家資本主義の台頭と市場経済の終わり?」
――読者の疑問にイアン・ブレマーが答える

 

イアン・ブレマー/ユーラシア・グループ会長

 「G20の交渉テーブルに就く新しいプレイヤーたちは『経済において政府が果たすべき適切な役割は何か、国際貿易や投資の流れに関する公正でもっとも効率的なやり方は何か』について、G7の指導者たちとは根本的に異なる考えを持っている。・・・・・・今後、市場経済、国家資本主義という概念をめぐるつばぜりあいが国家間で起きる。G20は、金融危機がなぜ引き起こされたか、危機の再発を防止するためにどうすればよいかについての(市場経済国と国家資本主義国の)異なる解釈がぶつかり合う場となるだろう」。(I・ブレマー)

CFRインタビュー
イランで展開される劇的な権力ドラマの内幕
――ハメネイはムサビを受け入れるか
 

カリム・サジャプアー/カーネギー国際平和財団 アソシエーツ

 「イランにおいて全ての判断を下しているのは最高指導者のハメネイだ。・・・しかしラフサンジャニが、反ハメネイの立場からコムの高位宗教指導者との連帯を組織しようとしているし、真の宗教的権威をもつモンタゼリも今回の選挙とハメネイの統治に公然と挑戦している。ハメネイは、その再選を政府が公表しているアフマディネジャド大統領を生け贄にするか、自分も船から降りるかどうかをいずれ決めなければならなくなる。ハメネイは非常に微妙な立場に立たされている。妥協しすぎれば、弱さの証しとみなされるだろうし、デモはますます拡大する。一方で、全く妥協しなければ、不正が行われたと広く考えられている選挙で再選された人気のない大統領を守るために自らも失脚してしまう危険に直面する」。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティグ・エディター)
 

フォーリン・アフェアーズ・アップデート
パキスタン軍のタリバーン掃討作戦の予期せぬ結末とは
――
 

ウィリアム・ウィーラー/フリーランス・ジャーナリスト

  パキスタン軍によるタリバーン掃討作戦の結果、住民が巻き添えになり、パキスタンの国内避難民の数はすでに200万人を超えている。これは1947年にインドから分離独立して以降最大規模の避難民の発生だ。いまや状況はパキスタン政府の手に負えなくなりつつあるし、難民キャンプは新たな過激派戦士のリクルートの場へと変化しつつある。さらに大きな問題は、民衆に配慮しない作戦を進めたパキスタン政府が民衆の人心を失いつつあることだ。すでにザルダリの支持率は19%と2008年8月にムシャラフ前大統領が辞任したときの支持率さえも下回っている。
 

CFRミーティング
「核のない世界」と核拡散という現実
――北朝鮮、イランと核不拡散
 

ウィリアム・ペリー/元米国務長官
ブレント・スコークロフト/元国家安全保障担当大統領補佐官

 「核のない世界の実現にもっぱら焦点を合わせれば、戦争や危機を回避するという目的に目がいかなくなってしまう。・・・私に言わせれば、核兵器が存在しなかった時代とは、第一次世界大戦、第二次世界大戦に象徴される時代だ。核廃絶という目的にコミットする前に、それが何を意味するかをもっと具体的に検討する必要がある」。(B・スコークロフト)

「核のない世界を実現するという目的を表明し、それに取り組んでもイランや北朝鮮の行動を変えることはできないだろう。だが、イランや北朝鮮に対処していく上でその協力が必要な諸国の支持を得ることができる。だからこそ、核のない世界という目的は重要だし、私が核のない世界を支持しているのもこうした理由からだ」。(W・ペリー)
 

CFRミーティング
4人の専門家が分析する北朝鮮の核、権力継承、経済制裁、外交交渉の行方
 

チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会シニア・フェロー
ポール・B・スターレス/米外交問題評議会シニア・フェロー兼予防行動センター・ディレクター
デビッド・C・カング/南カリフォルニア大学朝鮮半島研究所ディレクター
チャールズ・プリチャード/コリア経済研究所会長 北朝鮮問題担当米特使

 北朝鮮は、2006年10月に続いて、2009年5月25日にも核実験を行い、北東アジアの安定、そして国際的な核不拡散レジームを脅かしている。核実験が作り出した今回の危機は北朝鮮の政権の意図、核兵器の能力、権力継承プロセスが今もはっきりとせず、北朝鮮が制裁措置に対する複雑な盾をもっていること、そして、非核化に向けた多国間外交に制約があることなどの厄介な問題を再び浮上させている。以下は、4人の専門家による北朝鮮の今後に関する分析。
 

クラシック・セレクション 2008
内からの崩壊を恐れる平壌
――なぜ平壌は経済改革路線の導入を拒絶するのか
 

アンドレイ・ランコフ/韓国国民大学准教授

 

北朝鮮のエリートたちは、彼らが直面している最大の脅威が、国の外ではなく、内側にあることを理解しており、改革を拒絶することが、民衆を管理するうえでもっとも好ましい政策であることを理解している。中国や韓国による改革導入の要請に平壌が耳をかさないのもこのためだ。たしかに、国境の南にいる同胞たちが北朝鮮では考えられないような物質的な豊かさと社会的自由のなかで暮らしていることを次第に理解するようになれば、早晩、北朝鮮民衆の多くは、韓国市民同様に繁栄を手にしたいと考えるようになり、そのためには、でたらめな政策をとっている政府を排除したいと考えるようになる可能性はある。しかし、これを回避するために北朝鮮の指導者は改革の導入を拒絶し、情報統制を強化するとともに、自国の国益からみて北朝鮮の不安定化を望まない中韓からの支援を引き出すことに成功している。この構図が短期的に変化するとは思えない。

 

国際レジームの未来形、「拡散に対する安全保障構想」に注目せよ
 

アミタイ・エツィオーニ/ジョージ・ワシントン大学教授(国際関係)

 新時代の問題に対処するために、民主国家連盟の創設、あるいは、国連の強化やグローバル連邦の形成など、包括的な新多国間機構の創設を求める声もある。だが、より見込みのある枠組みとは、各国間のさまざまな合意や連携を組み合わせたPSI(拡散に対する安全保障構想)のようなモデルだろう。PSIには本部も事務局も、憲章もルールもない。そこにいるのは「加盟国」ではなく「参加国」で、米国務省はPSIを「活動」と呼んでいる。だが様々な事前合意をつうじて「常にスタンバイしていて、すぐに行動を起こせる」のがPSIの強みだ。たしかに、PSIモデルの場合、さまざまな合意や連携を複雑に重ね合わせる必要がある。だが将来に向けた国際的枠組みを考えていく上でPSIの先例を無視するのは大きな誤りだろう。
 

途上国への農業援助を見直せ
――飢えに苦しむ人々を救うには
 

キャサリン・ベルティニ/元国連食糧計画 エグゼクティブ・ディレクター
ダン・グリックマン/元米農務長官

 (経済成長に伴う)アジアの食糧需要増、長期に及んだオーストラリアでの干ばつ、一次産品を対象とする投機、エネルギー価格の高騰および穀物がバイオ燃料の原料として転用されたことなど、2008年に穀物価格がこの数十年でもっとも上昇した背景にはさまざまな要因が重なり合っていた。その後、多くの穀物や食糧価格は低下したが、世界の貧困地域ではいまも多くの人々が十分な食糧を確保できずにいる。……国際社会は、飢えや栄養失調に派生する疾病が世界の公衆衛生にとっていまや最大の脅威であり、AIDS、マラリア、結核の犠牲者総数を上回る規模の人々を死に追いやっていることを忘れている。……金融危機のなか、この問題に目を背けることは簡単だが、その帰結は甚大なものになる。

 

 





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