静岡

　静岡市葵区で昨年１０月、消費者金融会社の店長だった浅野仁さん（当時６３歳）が絞殺され現金などが奪われた事件で、強盗殺人罪に問われた同区西瀬名町、元会社員、橋本卓也被告（３８）に対する判決公判が２２日、静岡地裁であった。本間敏広裁判長は「パチンコなどで浪費した結果、金策に行き詰まり、犯行に及んだ。その動機に酌むべき事情はない」と厳しく指摘し、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

　被害者参加制度が適用された裁判での判決で、浅野さんの遺族が出廷した。遺族は判決後、代理人を通じ「意見陳述で極刑を望んだが、判決でその部分に触れてもらえてうれしかった。制度を利用して良かった」とのコメントを発表した。

　判決によると、０８年１０月７日午後６時ごろ、同区御幸町の消費者金融「ヒット」に押し入り、浅野さんの首を絞めて殺害。現金約１５０万円と時価約５０万円相当のネックレスなどを奪った。

　判決後、同制度とともに新設された損害賠償命令制度の手続きも非公開で行われた。橋本被告に請求する慰謝料など賠償額について、本間裁判長ら刑事事件と同じ裁判官が協議した。来月にも賠償額が決まり、結審する見通しだ。【平林由梨】