優しかった子がなぜ―。大阪市此花(このはな)区のパチンコ店放火殺人事件で、高見素直容疑者(41)が大阪府警に逮捕されて一夜明けた7日、実家のある広島市安佐北区などでは「優しい子」というイメージと事件の凶悪さとのギャップに住民や知人は驚きと困惑の表情を見せた。「ひょうきんな子」という印象を強く残しながらも、すぐにカッとなる面があったとの証言もある。
近隣住民によると、高見容疑者は幼少時代を安佐北区内で過ごした。小学校の同級生男性(41)は「魚など生き物が好きで近くの川でよく遊んだ。明るくひょうきんだった」と言葉を詰まらせた。小学校の卒業文集には、修学旅行先の秋吉台(美祢市)などを見学し、「美しい自然や動物を大切にしたい」と命の尊さについてつづっていた。
広島県東部の県立高校を1986年3月に卒業した。担任だった元教諭男性は「律義でまじめなタイプ」と振り返る。当時の様子について「積極的に発言するタイプではなく部活もしていなかった。目立つ子ではなかったが、ひょうきんな面もあった」とする一方、ささいな言動を注意されたときに「くそったれ」と暴言を吐くなど短気な一面もあったという。
高校を卒業後は職を転々とする姿も。元同僚(44)によると、安佐北区内の運送会社で20歳前後の約2年間、トラックの運転手をしていたという。「仕事でトラブルもなかったが長続きしないタイプのようだった」。約20年前、アルバイト先だった同区内の給油所の元上司(50)は「生活に困っている様子はなかった。地味で静かな印象だった」と振り返る。
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