伊賀地域の医療の将来を考えるシンポジウムが11日、伊賀市平野中川原の上野フレックスホテルで開かれた。市民ら約300人が参加、時間外2次救急の3病院輪番制問題など伊賀・名張両市長らを交えた討論もあったが、来年度の救急体制について明確な方向性は示されなかった。
連合三重伊賀地域協議会などでつくる実行委が主催した。まず、森野真治県議が地域医療の現状を説明し、伊賀・名張両市の10万人当たり医師数は117・5人で、全国平均(206・3人)、県平均(177・9人)とも、大幅に下回っていることが指摘された。
討論会には内保博仁伊賀市長、亀井利克名張市長、村山卓・上野総合市民病院長、伊藤宏雄名張市立病院長らがパネリストとして参加。輪番制について4人は、現状では来年度の維持は難しいとの認識で一致、そのうえで、村山院長は、3病院の機能を集約した基幹病院の新設を、伊藤院長と亀井市長は、急性期の患者と長期療養が必要な患者を診る病院を機能分担する再編を、それぞれ提案した。
内保市長は「基幹病院は将来的に必要と思うが、来年度をどうするかが直近の課題。機能分担は市民の理解を得られないのではないか」と話した。
質疑応答で会場から、名張市立病院の時間外救急受け入れ不能件数が他の2病院に比べ多いことがただされ、村山院長は「上野総合市民病院が相当な無理をして患者を受け入れており、名張が普通だと認識してほしい」と反論、伊藤院長は「現場にこれ以上の負担をかけると医師の辞職を招き、医療体制を維持できなくなる恐れもある」と強調した。【伝田賢史】
〔伊賀版〕
毎日新聞 2009年7月12日 地方版