<都議選>喜びに沸く民主候補 自民候補は沈痛なムード
7月12日23時27分配信 毎日新聞
落選が確実となり、支持者らに頭を下げる自民の立石晴康さん(左端)=東京都中央区で2009年7月12日午後9時22分、手塚耕一郎撮影 |
定数1の中央区で8選に挑んだ自民の立石晴康さん(67)は民主新人に敗れ、28年間守ってきた議席を失った。1人区での自民のベテランの落選は、民主に追い風が吹いた今回の象徴的光景だ。
「選挙を始めた時から超逆風だと分かっていた。国政の大きな流れの中、このような結果になり申し訳ない」。落選が決定的となった午後9時過ぎ、立石さんは事務所で支持者らに頭を下げた。
これまでの選挙は「車で回って『選挙があるぞ』と支持者に伝えるだけで済んだ」という。ところが、マンションの増加により区内の有権者は4年間で4割以上が入れ替わった。「感情に流されることなく、国、都との連携の大切さを考えてください」。立石さんはマンションに向かってそう訴えたが、及ばなかった。
別のベテランも状況は一緒だ。「今の選挙は風だけで動いている。私の実績を皆さんに伝えてください」。自民が議席を落としたことがない府中市(定数2)で5期目を目指した自民現職、比留間敏夫さん(75)は選挙期間中から街頭演説でいら立ちをストレートに表していた。
これまでは車から手を振る程度の「大名選挙」(陣営幹部)。だが、主要な地方選で与党が連敗するのを目の当たりにして、危機感を募らせた。いつもはしない駅頭立ちも展開。若さをアピールする民主新人の小山有彦さん(33)が自転車で街を走り回るのに対抗し、駅近くの目抜き通りを有権者と握手しながら練り歩いた。
自民現職、民主新人、共産新人の3人が一議席を争った青梅市。「自民の指定席」と言われていたが、ここでも自民が議席を落とした。「『生麻生』の写真? なんでそんなの撮らなきゃいけないの」「待ってられないわ」。麻生太郎首相が告示日の第一声を上げた3日朝、ある関係者は、動員されたとみられる主婦らの不満の声を耳にしたという。
自民と連立を組む公明も「与党批判」に苦しめられた。「自民と別れたら支援する」「このままだと泥舟の自民と一緒に沈没するぞ」。前回はトップ当選だった現職の事務所には支持者から何本も電話がかかってきたという。陣営の区議はぼやく。「最下位でも滑り込めればいい」
「民主党に一回やらせてやりましょうよ」。再選を目指した別の公明現職の陣営幹部は支援者からそう言われて驚いた。その支援者は支持母体の創価学会の会員だったという。
一方の民主党。昭島市(定数1)では、推薦候補の無所属新人、星裕子さん(51)が当選を決め、4期続いた自民の牙城を崩した。
午後9時3分、テレビに「星さん当選確実」の報が流れると、選挙事務所は歓声に包まれた。
支持者から花束を贈られた星さんは「まさに地域の中で地殻変動が起きている。政治状況全体に市民の皆さんが怒りを持っているということだ」と興奮気味に話した。
東京・生活者ネットワークの市議だった星さんは、民主をはじめ計5党派の推薦を受けた。公明の推薦を受けた自民新人の杉崎源三郎さん(59)との一騎打ちは、国政の与野党対決の構図そのままの戦いとして注目された。
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最終更新:7月12日23時40分
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