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ホップ、ステップ、肉離れ?大躍進の民主に落とし穴

新人大量当選なら機能不全も

 総選挙の前哨戦というよりも、もはや麻生太郎政権の命運を決定づける色合いの濃い東京都議選(12日投開票)。政権交代を旗印に、大型地方選の連勝で勢いに乗る民主党が攻勢をかける。主要メディアの情勢分析では、「民主党大躍進、第1党」「自民・公明の与党、過半数(64議席)割れ必至」と予測するが、追い風の民主党に死角はないのか。劣勢の自公与党に反攻の兆しはないのか。

【弱い基盤、共倒れ懸念】

 「『今回は負けそうな新人に投票する』と支持者にいわれた。そうではない。現職は大丈夫といわれているが、今回は新人に勢いがある。ぜひ若手をまとめるリーダーとして、現職をよろしくお願いします」

 定数8に11人が議席を争う「世田谷区」。この地域を地盤とする民主党の小宮山洋子衆院議員は、民主現職候補の応援で、こう声をからした。

 小宮山氏が最も心配するのが同一政党の公認候補同士、いわば身内同士の争いによる「共倒れ」だ。世田谷区に民主は現職2人のほか、告示直前に新人1人を追加公認。地域政党「東京・生活者ネットワーク」の候補者1人も推薦し、4人全員の当選を目指すが、票が分散する共倒れの懸念がつきまとうのだ。

 「都議会第1党」を勝敗ラインとする民主(現有34議席)は党本部主導で追加公認を増やし、最終的に64人(公認58人、推薦6人)を擁立。その結果、全42選挙区のうち13選挙区で身内同士の“仁義なき戦い”が展開され、あおりを受ける民主現職の怒りは収まらない。

 実際、葛飾区の民主現職は自らのブログで、落下傘の新人候補が追加公認されたことに「党の姿勢は間違っている。都連から派遣される国会議員の応援はいらない」と批判。選挙結果によっては総選挙に影響しそうな雲行きだ。民主党都連幹部はこうした懸念についてこう語る。

 「組織力に勝る自民に比べて選挙基盤が弱く、得票調整ができるほど民主に組織票はない。それぞれの後援会組織を固めても万単位の票に届かないだけに、政権交代の風を複数の候補者全員が等しく受けないと共倒れの心配はある」

 民主党関係者は「大田、目黒、練馬、葛飾」の選挙区で共倒れの可能性があると指摘するが、こうした事態を防ぐ特効薬が投票率アップなのだ。

 都議選の投票率は、過去5回のうち、国政選挙の前哨戦と位置づけられる「連動型」の場合、投票率が50%台となる傾向だ。連動しないケースは逆に50%を下回り、前回は43.99%。「政権選択選挙」目前の今回、都議選の期日前投票は5日までの2日間で、前回の同じ時期の1.68倍と有権者の関心は高く、「無党派層が動く」(永田町事情通)といわれる「45%」を上回る可能性が強い。気がかりな投開票日当日の天候は「曇り、降水確率40%」だという。

【結局「ホップ、ステップ、肉離れ」?】

 もう一つ、民主党の弱点とされているのが、鳩山代表の「故人献金」問題だが、「あまり関係ない。もう政権交代の勢いの方が強い」(民主党関係者)と神経質になっている様子はない。むしろ政権交代の風で新人候補が大量当選し、都議会第1党を実現した場合、「若手ばかりで本当にまとまるのか。結局は素人集団になるだけで、都政運営が機能不全に陥る。いまでさえ、まとまりがないのに…」(都政関係者)と民主大勝予測に警鐘を鳴らす向きもある。

 一方の自民、公明。自民党都連の分析では、現有48議席から45前後の議席減にとどまるとみているが、主要メディアの予測は約40年間維持し続けてきた都議会第1党の座を奪われ、さらに、勝敗ラインの「過半数維持」さえも厳しいとされている。自民現職候補は怒気を込めてこう言い放つ。

 「地方選と国政は別というが、もっと早く解散しなかった麻生首相が最も悪い。景気対策も大事だが、グズグズしているうちに、有権者にはフラストレーションが積み重なり、民主の勢いに歯止めがかからなくなった」

 お手上げ気味の自民をよそに、民主党は静岡県知事選の勝利、都議選大勝、そして、総選挙での政権交代−というシナリオを描く。国政でこれまで政権与党を追い詰めながらも、最後は自滅する詰めの甘さから「ホップ、ステップ、肉離れ」と皮肉られていたが、果たして−。

ZAKZAK 2009/07/11

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