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【国際】

ウイグル暴動真相は 死者数・銃撃 食い違い

2009年7月10日 夕刊

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)=朝田憲祐】中国新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた大規模暴動で、中国当局は百五十六人が死亡したとしているが、その内訳や死因は不明のままだ。死者数についても、在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・独ミュンヘン)は最大八百人と主張し、対立している。

 「政府の発表なんてうそっぱちだ。ウイグル族だけで千人は殺されたと聞いている」。ウイグル族のマハムティジャンさん(28)は漢族に鉄パイプで殴られて負った頭の傷を見せながら話した。

 中国当局が発表したのは人数だけで、男女や民族の内訳は明らかにしていない。記者会見で質問を受けた地元政府幹部は「調査中」と答え、「死者数が確定しているのになぜか」とただされてもだんまりを決め込んだ。

 暴動の発生当初、当局は国内メディアを使い、「ウイグル族が漢族を襲った」との構図を強調した。目撃情報では、両民族ともこん棒や鉄パイプを手に攻撃したとみられるが、公表されているのはウイグル族による襲撃だけ。ウイグル族の男性(25)は「自分たちだけが悪者扱いされる」と怒りをぶつけた。

 治安当局による弾圧方法も、ひた隠しにされたままだ。

 当局はこれまで威嚇射撃しか認めていないが、多くのウイグル族が「警察は銃や催涙弾を発砲した」と証言。ウイグル帽をかぶった年配の男性は「銃撃音が聞こえたので外に出ると、体から血を流した人が倒れていた」と話した。

 

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