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シュワちゃん危うし! 借用書の現金化、大手銀がNO

7月11日23時33分配信 産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】深刻な財政赤字に苦しむ米カリフォルニア州が発行に踏み切った「IOU」(借用証)に対し、大手銀行の多くが10日限りで現金化を終了すると発表、身の丈を超えた支出を続ける州に「ノー」を突きつけた。IOUを受け取った州民は新しい換金先を探さなければならず、混乱は必至だ。

 景気後退や住宅危機による税収減で財政赤字が約260億ドル(2兆4000億円)にふくらんだ同州は、7月、予算の合意が得られないまま新会計年度に入った。現状ではまもなく州が支払い不能に陥るため、2日からIOUの発行を開始。満期は10月2日で、利子が上乗せされて払い戻される。発行残高は今月中に3億ドル(約276億円)に達する見込みだ。

 IOU発行直後、大手銀行は現金化を引き受けると表明した。しかし、予算合意に向けての議会折衝が進まない状況の下、バンク・オブ・アメリカなど大手銀行はIOU引き受けの停止を決断した。

 IOUは1930年代の大恐慌時に複数の州で発行されたほかは、カリフォルニアで92年に暫定的に発行されただけ。当時、大手銀行が積極的に引き受けを進めた結果、州議会の折衝に余裕を与え、解決を遅らせてしまった。銀行側が「引き受けが長引けば、それだけ議会を甘やかすことになる」としているのは、当時の反省があるからだ。

 今後、州民が市中の業者で換金する場合は大手銀行と違って相当額の手数料を割り引かれることになる。本来不必要な手数料を支払わされたとして、州民が訴訟に踏み切るケースも考えられる。

 米紙USA TODAYは、13%もの税収減という厳しい財政状況に見舞われているフロリダ州が、今年度、増税と支出削減で財政均衡を実現した例を挙げ、カリフォルニア州の不手際を批判している。事態の解決に向け、一部には連邦政府による救済や介入への期待もみられるが、金融、自動車と大型救済が続いた後で、オバマ政権が地方財政の救済に踏み込む可能性は極めて低い。

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最終更新:7月11日23時37分

産経新聞

 

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