国内の韓国料理店500店などが名を連ねた「熱韓あつかん実行委員会」は9月下旬まで、東京都赤坂を中心に、韓国ブームを起こすためのイベント「熱韓」を実施している。実行委員会にはテレビ局や遊技機メーカーも名を連ねる大々的なイベントだが、反応はそれほどでもないというのが現状だ。(溝口恭平)
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記者発表に参加した「チャングムの誓い」出演者パク・ウネさん(中央) |
TBS主導のプロモーション
熱韓プロジェクトに特に力を入れているのはTBSだ。21日から人気韓国ドラマ「チャングムの誓い」を再放送することが決定。同局近くのイベント広場には6日まで「チャングムレストラン」を設置した。
プロジェクトには遊技機メーカーのサミーや韓国料理チェーンも参加している。サミーは「チャングム」をテーマにした遊技機の開発・販売(ホール導入は9月上旬予定)を行い、料理店は特別フェアを行っているが、TBS主導のプロモーションといっていい。
日本のニュースを韓国語で紹介しているニュースサイト「JPニュース」は、視聴率低迷にあえぐTBSが打開策として“実績のある”チャングムの誓いに期待したと分析している。サミーがプロジェクトに入ったことについては「大々的な広告で話題になっている『ぱちんこCR宮廷女官チャングムの誓い』とタイアップすることで大きな広報効果を得られることから、この時期に(TBSは)再放送を決めたのではないか」と推測している。
イベントが“露骨なプロモーション”と映ったのか、一般市民の反応は芳しくない。インターネット上のアンケート調査では回答者約400人のうち8割以上が「気持ち悪い」、「興味がない」と答えた。統計の正確さに疑問があるとはいえ、かなり厳しい評価といわざるを得ない。
韓国ドラマのファンも冷めた目で見ている。東京都在住のある女性は「ドラマの再放送は嬉しいけれど、チャングムはもう見飽きた。韓国ドラマを放送するなら最近のものにしてほしい」と話す。「最新のドラマが見たい」という意見は、コリアンタウンを散策中の韓国ドラマファンの多くから聞かれた。
06年に韓国ドラマ「冬のソナタ」をテーマにした遊技機を発売した京楽産業のある社員は「ドラマのファンが台についてくれることはあっても、パチンコファンがドラマを見ることはまずない」と語る。イベントに参加している韓国料理店も「今のところ特に変化はない」と浮かない顔だ。
ある韓国ドラマのファンは「チャングムはいい作品だが、あからさまに商売に結び付けようとするのは、かえって印象を悪くする」という。プロモーション自体は必要不可欠だが、やり方を間違えるとファンを失うことになりかねないということだろう。 |