【萬物相】レポートの盗作
剽窃(ひょうせつ)を意味する英単語「plagiarism」はラテン語に由来する言葉で、本来は「子供の誘拐」を意味したという。他人の知的な成果を無段で使用する行為は、他人の「精神的な子供」を誘拐するの同じ、というわけだ。米国ハーバード大の盗作予防教材「出典を明記する文章を書くガイドブック」は、この言葉をまず最初に載せている。米国の大学では新入生に対する盗作予防教育と、盗作が摘発された際の懲罰を徹底している。
世界的な流通企業ウォルマートの相続人エリザベス・ペイジ・ローリーは2005年、南カリフォルニア大(USC)の学位と卒業証書を返還しなければならなくなった。ローリー氏が在学中、ルームメイトに金を渡して宿題や期末レポートを代わりに書かせていたという事実が、当時のルームメイトによって暴露されたからだ。この事実が知れ渡った後、ミズーリ大も、ローリー氏の両親から2500万ドル(約23億9500万円)の寄付を受け、ローリー氏の名前にちなんで建てた「ペイジ・スポーツアリーナ」を別名に変更した。盗作の一種である「代筆」で、高い代価を支払うことになったというわけだ。
韓国思考と表現学会は4日、「作文教育を通じた大学生の研究倫理確立」をテーマとした国際学術大会を開いた。何回かクリックすればレポート1本くらいはすぐに作ることができる時代に、「正直に文章を書く」姿勢とそれを重んずることを悟らせる場だった。米国カリフォルニア州立大フラトン校(CSUF)のチョ・ジェヒ教授は、「米国の大学での作文上の不正行為に関する処罰規定と事例」と題する発表で、米国の大学が盗作をいかに深刻な学問的・教育的テーマと見なしているかを示した。
チョ教授は「インターネットの発達で、米国でも作文上の不正行為は増加傾向にある。それでも学生らの盗作を防ぐ最後の砦(とりで)は、教授の努力だ」と語った。米国の大学も1講義当たりの学生数が増えており、盗作を摘発するのは容易ではないが、多くの教授は盗作摘発プログラムを開発して最後まで追跡するなど、不正行為を容赦しない風土があるという。法と規律を分かっていながらそれに反する者には、相応の代価を仮借なく払わせるという、米国社会の原則の反映でもある。
韓国の大学ほど盗作問題が深刻な場所はあるだろうか。韓国のある大学教授は、「講義中に提出するレポートの盗作疑惑を隠さなくなってから、かなりたつ」と語った。その一方で、一部では教授自身が盗作や論文の重複掲載などを行い、非難の対象となるケースも後を絶たない。どこから手を着ければよいのか分からないというのが、なおのこと悩ましい。
キム・テイク論説委員
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