衆院議員の任期満了まで2カ月を切った。政権選択が最大の争点とされる次期衆院選で鍵を握りそうなのが、無党派層の投票行動だ。近年の選挙結果に大きな影響を与えてきた無党派層が政治にどう向き合おうとしているのかを探るため、「支持政党なし」という県内7人の有権者に対し、次期衆院選まで定期的にアンケートを続ける。1回目は、郵政民営化を争点に自民党が圧勝した前回衆院選(2005年)を振り返ってもらった。
前回、当時の小泉純一郎首相は「改革の本丸」と位置付けた郵政民営化関連法案が参院で否決されると、即座に衆院を解散。衆院で法案に反対した自民党造反組の選挙区に対立候補の“刺客”を次々に送り込んで、マスコミ報道も過熱する「劇場型選挙」となり、自公の与党で3分の2以上の議席を確保した。
今回の調査で、前回の結果に対する評価を質問したところ、「良かった」が4人、「悪かった」が3人と分かれた。
佐賀市の公務員男性(38)は「3分の2以上の票を得て、法案も次々と通って良かった」、同市の自営業男性(46)も「政治のスピード感が増した」と政策決定の迅速化を前向きにとらえた。
一方、白石町の農業男性(27)は「お祭り騒ぎで自民党がうまく擦り抜けた。結局、国の将来への不安は解消されていない」と指摘。比例代表で自民党に投票したという唐津市の会社役員(60)も「失敗だった。小泉元首相のパフォーマンスにだまされた。当時の小泉さんは頼もしく見えたが…」と悔やんだ。
7人には「今ならば、どの党に投票するか」についても質問。3人が「決めていない」、4人が「民主」と答えた。
「決めていない」との回答者のうち、唐津市の会社役員は「自民はもう信じられないが、民主も政策の中身はない」と二大政党への不満をあらわにした。「民主」と答えた理由では、「とにかく一度やらせてみたい。駄目ならば、また(政権党を)代えればよい」(基山町の主婦)「真の二大政党が実現するには、政権交代が必要」(白石町の農業男性)などと、民主党への支持というよりも、政権交代を期待する意見が目立った。
=2009/07/12付 西日本新聞朝刊=