2009年7月12日5時32分
麻生首相は11日夜、12日の東京都議選で与党が負けても続投し、自ら衆院を解散する決意を自民党議員に伝えた。都議選の苦戦で与党内に首相交代論が広がっていることも踏まえつつ不退転の決意を固めた。解散の時期は、臓器移植法改正案や北朝鮮制裁の貨物検査特措法案などの重要法案の成否を見極め、早ければ週内にも判断する。今後は与党内の強い反発を抑えて解散を断行できるかが焦点だ。
首相は11日夜、公邸で、首相を支える「結束の会」代表世話人の武田良太・自民党衆院議員と会談した。武田氏によると、首相は「麻生では選挙に勝てないから、という大義で内閣総理大臣を代えようとしている。安倍、福田、麻生と3代にわたって自民党は信を問うことが出来なかった。いま選挙目当てに自民党が姑息(こそく)な行動を取ると国民に受け取られたら、自民党は終わってしまう。自民党の総裁としてしっかりと責任を果たしたい」と語り、自ら解散する決意を伝えた。
首相は自民党麻生派の中馬弘毅座長、森法相とも会談し、解散の時期は「法案を通したらだ」と述べたという。
民主党は13日にも内閣不信任決議案を衆院に、首相問責決議案を参院に提出する構えだ。首相は11日夜の河村官房長官との会談で、不信任案は衆院で粛々と否決することで一致。参院で問責決議が可決された場合は、衆院で審議中の北朝鮮制裁の貨物検査特措法案は成立困難になるが、首相は河村氏に「問責が出たらどうしようもない」と成立を見送る可能性も示唆した。
自民党内では反麻生勢力に加え、首相を支える執行部や派閥幹部らにも「首相では総選挙は戦えない」との危機感が強く、解散先送り論が広がっている。公明党内では首相が都議選直後に解散しようとすれば、同党の斉藤環境相に閣議で拒否させるべきだとの声も出ている。