「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(14日、神戸ワールド記念ホール)
WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積(真正)がかねて熱望していた海外進出が一気に現実味を帯びてきた。9日、神戸・真正ジムを訪れた帝拳プロモーション会長・本田明彦氏(61)が明らかにしたもので、WBA・WBC・IBF世界Sフライ級の統一王者ビック・ダルチニアン(33)=オーストラリア=からWBCを通じて本田氏に長谷川への対戦オファーが伝えられた。9度目の防衛戦を前に、王者にとってはこれ以上ない発奮材料となる。
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あこがれのリングに立つ夢が、ついに実現しそうだ。世界的なプロモーターである本田氏は「長谷川の海外での試合はいくらでもある」とした上で「ダルチニアンがWBCを通じて言ってきた」と、正式にオファーを受けたことを明らかにした。もちろん、舞台は米国。「ダルチニアンには『ショータイム』(米国放送局)がついてるし、そうなるでしょう」とうなずいた。
長谷川にとって海を渡ることは以前からの目標で、05年4月の世界王座獲得直後から「将来的にはボクシングの本場であるラスベガスで戦って世界的なスターになりたい」と公言してきた。真正ジムには『海外進出』と記された自筆のサインが今も飾られている。
この日、減量メニューをこなすためジムに姿を見せた長谷川は本田氏の話を伝え聞くと「そうですか」とポツリ。ゆっくりストレッチをしながら「今は何も考えない」と14日に控える防衛戦へ神経を集中させた。それでも最後は「いい話だね」と笑みを浮かべ、夢舞台実現への期待感をのぞかせた。
スムーズに交渉を進める条件は、まずダルチニアンが11日、米フロリダで1階級上げて挑むIBF世界バンタム級タイトルマッチに勝つこと。そして長谷川が、14日に王座を防衛すれば話を一気に具体化できる。対戦条件の設定など複雑な問題もあるが、ビッグマッチを組みたい双方の意向が一致すれば“着地点”が見つかる可能性は高い。
「レイジング・ブル(怒れる雄牛)」の異名を持ち8割を超えるKO率を誇るダルチニアンと、日本が誇る絶対王者との“ドリーム・マッチ”-。未来をかけたV9戦へ向けて、長谷川の闘志に火がついた。