問題なんですね。 日本的雇用システムと閉鎖的正社員主義、それから、以前話題になった、日本のWebコミュニティに、社会の上のほうの人が、入ってこないこととか、官僚支配の社会構造が異常に強固こととか、それらは、みんな同根の問題で、”タテ社会”という定義が適当であるかどうかは別として、丸山真男さんも、タコツボ社会と指摘していたのも同じ問題意識だろうと思います。 経済学の問題というより、やはり社会学のテーマでしょう。西欧流の政治学でも解けないでしょうね。 カールバーグ A Futurist's blog http://ft2007.blog112.fc2.com/
日本の統治機構をプロイセン型からイギリス型に変更するということ、これこそが小沢イズムの根底にあるものですね。自由党時代は、「それは無理というものです」といった感じでした。しかし民由合併以後、民主党の主目的になり、実現しつつあるというのが今でしょう。
民主党の議員は、いわゆる反小沢派の人たちも、一部を除けばイギリス型への変更を是と考えているように見えます。たとえば、岡田幹事長は、しばしばイギリスの政治を事例にします。
私は、これについては、理屈も何もなく、ただただ直感的に反対なんですよ。それではいけないのは分かっているのです。しかし、理論武装できなくて、感情的に反発するだけという、情けない有様です。
統治機構をイギリス型に変更するという作業は、ほとんど革命に近い作業です。官僚バッシングなどとは桁違いの国家改造になるでしょう。第三者の冷静な議論が必要だと思います。自民党内は、アメリカ型がいいだのフランス型がいいだのと言い出すバカが大勢いたりして、どうにもなりません。
たとえば、有名な話ですが、日露戦争で日本の捕虜になったロシアの水兵が、日本では「生まれ」とは関係なしに、貧乏な百姓の息子でも頑張れば将校になれると聞いて、「なんて素晴らしいのだ。日本に生まれたかった」と言ったという話がありますが、しかし、がんばっても昇進できずに、下積みで終る人もいるわけで、そういう人は、「敗北感」を抱えて生きることになります。
フリータートか、フリーターにもなれずに引きこもった人を「負け組」と賞するのは、日本社会が、出世ラインをめぐる競争社会であることを如実に表していると思います。
この「縦ラインの競争システム」は、勝つために一生懸命働くという点では評価できても、負けた人は「負け組」という汚名を背負ってしまうという負の要素があるわけです。
これと対照的な社会が、勿論例外はあるでしょうが、「縦ライン」の出世コースは基本的になく、人々は生まれた階層の中で、その階層の人間として生きるのが、横社会で、典型的なのがインドのカースト社会です。
欧米も、基本的にはカースト社会です。
労働者の家に生まれたものは労働者として一生を過ごすわけですが、これは、いわばその人の宿命であって、敗北感のようなものはないわけです。
つまり、労働者は労働者としての権利があるし、失業者はその労働者としての権利を奪われた存在であるということで、職を持っている労働者と連帯して、「職をよこせ」と主張することができるわけです。
対する「縦社会」の日本では失業者は「敗北者」なのです。
中根千枝は、インドの最下層カーストの人々が、生活は極貧ながら、人生の戦いに敗北してこうなってしまったのだという意識がないため、堂々として見えると書き、実は、「横社会」のほうが人間的で優れていると暗黙のうちに示唆しています。
もちろん、その最下層カーストの人々からすれば、日本の社会システムは夢のようなシステムかもしれませんけどね。
ともかくそういうわけで、中根千枝の「日本タテ社会論」は今でも、否、むしろ今こそますます有効だと思います。
問題は、中根女史自身が、私の話は学問的なものなので、政治的場面で持論を主張するつもりはまったくないと、件の「タテ社会の力学」(だったと思いますが)で言明していることでしょう。
中根先生としては、政治的に主張したければ、勝手にやってくださいというところでしょうが、日本の縦型の社会のあり方について、あまり好ましいものではない、と考えているならば、そう言うべきでしょう。著作の片隅でこっそり言うのではなく。
日本的雇用システムと閉鎖的正社員主義、それから、以前話題になった、日本のWebコミュニティに、社会の上のほうの人が、入ってこないこととか、官僚支配の社会構造が異常に強固こととか、それらは、みんな同根の問題で、”タテ社会”という定義が適当であるかどうかは別として、丸山真男さんも、タコツボ社会と指摘していたのも同じ問題意識だろうと思います。
経済学の問題というより、やはり社会学のテーマでしょう。西欧流の政治学でも解けないでしょうね。
カールバーグ
A Futurist's blog
http://ft2007.blog112.fc2.com/
大半の政治学者は、アメリカ型の大統領制は、民主制としては、考えうる最悪のタイプで、とくに民主制の基盤(公正な報道、国民の識字率、公正な官僚層)が不十分な新興国には、大統領制は向いていないと考えています。
小沢一郎という人は、日本の統治機構をイギリス型に変更するという大義に生きているのでしょう。だから総理などという雑用係はやりたくないのだと思います。
でも、そういう人は政治家ではなくて革命家になればいいですよ。私は、理性ではイギリス型にしたほうがいいと理解しますが、それでも反対します。もう後には引けないですねw
私個人はしょうがないとして、有識者のみなさんにはしっかり議論していただきたいですね、国民のために。本当にイギリス型にしたほうがよいのかどうかを。
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