2009年7月7日5時51分
その根拠として、答申は住民の頭髪や、胎児のへその緒の水銀値が一般の人とあまり変わらない、とするデータを示した。だが、それをはるかに上回る値を示す被害者がいたという研究データも見つかっている。
答申には「科学的な結論とは言い難い」という批判があり、前国立水俣病総合研究センター所長の衛藤光明氏も「68年で汚染が一気に低くなるわけがない。当時、環境庁から聞かれたので、おかしいと言った。75年ごろまでは胎児性水俣病があってもおかしくないと思う」と指摘する。
一方、環境省の原徳寿・環境保健部長は「水俣地域には心理的バイアスがあって(体の不調があるとそれが水俣病だと)思い込む人がいるかもしれない。今から住民健康調査をしても、過去の汚染データがないのだから、メチル水銀の暴露との因果関係は分からない」と反論した。