2008-05-07
「重大な過失」の定義変更を
投稿時間 : 17時33分14秒
カテゴリー : 医療関連団体
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日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)はこのほど、医療事故の原因を調べる第三者機関「医療安全調査委員会」(仮称)の創設を柱とした死因究明制度に関する厚生労働省の第三次試案に対する意見と要望を発表した。この中で、「医療事故に対する刑事訴追に反対する見解を変えるものではない」としながらも、「医療提供者の業務上過失致死罪からの免責の実現には、国民的議論を踏まえた慎重な法改正が必要」と指摘。その上で、「現法体制の下、医療事故に関しての刑事捜査を完全に排除することはできないことを許容した」との表現で、医療事故に関する捜査を容認した。同学会は、「重大な過失」がある場合の刑事免責ではなく、「重大な過失」の定義を変更することを強く求めている。
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厚労省が検討を進めている死因究明制度は、医療事故が疑われる死亡が病院内で発生した場合に、警察とは別の第三者機関(医療安全調)に病院管理者が届け出て、医療関係者を中心とするチームが死亡の原因を調査する制度。厚労省の第二次試案では、医療安全調が作成した調査報告書を範囲を限定せずに刑事手続きなどに利用できるとしたため、医療現場から「医療者の責任追及を目的とした制度」との批判が上がっていた。
医療安全調の報告書と刑事手続きとの関係をめぐっては、不注意によって医療事故を起こした場合(過失)の取り扱いが問題となっており、厚労省の検討会では「重大な過失」の場合に刑事責任を追及することは当然との考えで一致している。
一方、患者を殺そうと思ってわざと手術を失敗させたケース(故意)や、医療事故が起きた後に診療録を改ざんしたり、証拠を隠ぺいしたりする「悪質な事例」、過失による医療事故を繰り返している「リピーター医師」などに対して刑事責任を追及することは、大きな争点にはなっていない。
厚労省が4月に公表した第三次試案では、過失(注意義務違反)の中で最も重いとされる「重大な過失」を刑事手続きに移行させることを明確にした上で、「重大な過失」を「死亡という結果の重大性に着目したものではなく、標準的な医療行為から著しく逸脱した医療」と定義した。
一方、同学会は2月29日に発表した見解の中で、医療行為者が「正当な業務の遂行」として行った医療行為に対して、結果にかかわらず、業務上過失致死傷罪を適用することに反対。患者の利益を第一義的な目的とした診断や治療などは「正当な業務の遂行」として刑事免責を求めたため、「重大な過失」について刑事責任を問うべきかどうかが大きな対立点になっていた。
しかし、同学会が今回発表した見解は、「重大な過失」の刑事免責ではなく、「重大な過失」の定義を変更することによる処罰範囲の限定化を図ろうとしている。
同学会は、「勤務環境を含めたシステムエラーの要因が完全に否定され、あらゆる観点からみて許容できない」ことを「重大な過失」の定義に加えるよう求めている。
「重大な過失」をこのように限定解釈すると、薬の誤投与や手術ミスであっても、多忙な勤務状況によって引き起こされたと判断できる場合などは、「重大な過失」とされない可能性がある。
同学会はまた、「リピーター医師」という表現について、「語句があいまいな定義のままで一般的によく使用されている現状では、誤解を生む余地がある」として、削除を求めている。
【日本産科婦人科学会の意見と要望~PDF】
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/daisanjishian_20080501.pdf
(wrote:医療・介護人材サービス キャリアブレイン 記者)
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