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リチウム電池内部をMRI撮影 東北大グループ
 | MRIで撮影したリチウムイオン電池の横方向の断面図(上図中央の円)と縦方向の断面図(下図の凸部分)。リチウムイオンが少ない部分は周囲と同じ色になっている(河村教授提供) |
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東北大多元物質科学研究所の河村純一教授(物理化学)らのグループは、医療用の磁気共鳴画像装置(MRI)を使い、リチウムイオン電池の内部を撮影することに成功した。充電してもすぐに電池が切れる「劣化」や内部破裂の検出が可能になり、課題となっている安全性の向上、劣化防止技術の開発に役立つという。
河村教授らは10日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(東京)が東京で開いた蓄電技術開発成果報告会で発表した。
リチウムイオン電池は金属容器に包まれている上、電極などの内部にも金属を多く含み、MRIでリチウムイオンを観測するのは困難だった。研究グループは、照射する電波と電極の向きを平行にするなど工夫し、障害物を取り除くことで観測に成功した。
MRI画像によると、リチウムイオンが少ない場所ほど暗い色となって表れた。内部の電解液が分解し、気泡が発生している部分もあった。電気自動車用にリチウムイオン電池の開発が進むが、寿命の長期化や安全性の確保などが課題となっている。
河村教授は「電気自動車用のリチウムイオン電池は、10年ほど使えるような耐用年数の長期化が必須。内部撮影の成功で、電気自動車の技術開発にも役に立つ」と話している。
[リチウムイオン電池] 携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラなどに使われる蓄電池。電解液内に正極と負極があり、両極間をリチウムイオンが行き来することで、充電や放電を繰り返す。
2009年07月11日土曜日
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