2009.07.11

NEW【駄文・7/11】企業が望む人材とは!?

先日、我が社で新入社員の募集を行った事は何度か書いている。
1990年代半ば迄は朝日新聞の募集広告が最も反応が大きかった。だが90半ば以降は極端に朝日新聞広告の効果は低下し、就職雑誌が主流になった。
当時は1回の募集で最低でも50名、いや100名近い応募者がいた。ところが2000年に入ると年を追う事に応募者が減り続け、また広告媒体も05年辺りから就職雑誌は全く効果を失いNet募集が主流になった。それでも応募者は極端に減り、10名がいいところだった。
一体最近の若者は、不況不況というのに何を考えているのか!? あまりにフリーター志向が強く、それは特に男性に顕著だった。
ところが今回数年振りにNet募集をしてみると、メールの問合せだけで150名を越えた。実際、履歴書を送ってきた人も軽く100名を越えた。
時代が激しく動いている事、不況の深刻さを痛切に感じざるを得なかった。100強の応募者のうち、約4分の1が30代後半から40代、50代だった。我が社は一切、学歴を重視しない。性別も関係ない。

最近、立場上常に採用側の立場でこのような募集に関する諸々を見る習慣がついてしまったが、採用も一段落した今、改めてかつて学生だった頃、つまり応募者のスタンスで考えてみた。
自分ながら驚きを隠せなかった。
学生時代、学校の成績や積極性、つまり能力と成績、アピールが合否の鍵になると思い込んでいた。成績がよく、真面目で明朗かつ積極的でさえあればいいと信じていた。
だが、それは大きな間違いだった。
結局、個人の成績や云々などよりも、その企業が求める条件に合うか合わないかが何よりも重要な現実。決して成績や実績、また学歴があればいいというものではないのである。
例えるならば、その企業が「赤」を望むならば、いくら鮮明で綺麗な「青」でも採用対象にならない。「赤」を欲するならば、せめて「朱色」や「濃いオレンジ色」でなければ如何に優秀でも合格出来ない。
今回の募集ではかなり実績のある経験者や、学校での成績が優秀で色々な勉強をしてきた人たちが多かった。つまり総体的な資質は極めて高い人材が応募してきた。
面接に於いても殆ど礼儀正しく、どんな質問にもハキハキと答える。わざわざ自己アピールの為にフリップを使ったり紙芝居調にまとめて自らを売り込む人もいた。きっと頑張り屋で向上心の強い、能力のある人間に違いない。
だが結局、彼ら彼女らは不採用になった。勿論、早稲田や慶應、北大や阪大出身である事のみをアピールする応募者は話にならなかった。きっと彼らの潜在能力は極めて秀でているのだろうが…。偏ったプライドを持つ人間ほど扱い難いものはない。
要は、そのような人材を、少なくとも我が社は求めていないという事に過ぎないのである。夢現舎が求める人間は「真っ白で何にも染まっていない人間」である。経験など関係ないのだ。面接に於いてもマニュアル通りのそつない言葉を繰り返す人間はいらない。「積極性」は重要だが、それは言葉で如何にアピールしても通用しない。
最終的に採用した2名は編集は勿論、デザインや文章の経験もなく、また面接では緊張しながら不器用で殆どまともに答えられない応募者だった。1人は大阪在住で、他社の面接も含めて約10回も深夜バスで上京を繰り返してきた女性。もう1人は面接で何もまともに答えられなかった、私が冗談混じりで「君は今回の書類選考を通過して面接に臨んだ約50名の中で一番おバカさんだね」と口にした女性だった。
採用した2人よりも経験も実績もある人材はかなり多かった。だが、繰り返すが我が社は「真っ白で未知数ながら不器用な人間」が欲しかった結果に過ぎない。





遺憾ではあるが、まだ30代前半ならばいいにせよ、さすがに40代以上の方は取れなかった。年齢が問題なのではなく、これらの人たちは必然的に何らかの「色」を有しているからである。
それにしても、これは過去10年は変わらないのだが、総じて男性の応募者はロクな人間がいない。一見してクラゲのようにフラフラとアルバイトの延長気分の若者が大半である。決して体育会系を望んでいる訳ではない(以前は格技経験者、または入社後に柔道か極真空手を学ぶ意志のある者に限定していた)。もうどうにもならない、世間を軽く考えているのは圧倒的に女性より男性の方が多い。

結局、今回は男性社員が欲しかったのだが、たった1名でさえ最終選考に残った人間はいなかった。
それを考えれば、キックボクサー出身で現在は積極的に極真空手を学んでいる我が社唯一の男性社員、Iが如何に貴重なスタッフか! 改めて実感している。

samurai_mugen at 09:10 │clip!ショートコラム