杉戸町下野の昌平高校(小池仁校長)の国語教諭、今村寛さん(49)が18日、「学校側が根拠を明示せず、授業力不足を理由に1年間の特別研修をさせるのは退職強要だ」として、学校法人昌平学園に対し、特別研修の停止などを求める仮処分を、さいたま地裁越谷支部に申し立てた。
申立書によると、学校が教師に受けさせた「授業力確認テスト(センター試験レベルで200点満点)」が112点だったことや、生徒を対象にしたアンケートで平均点より約1点低かったことなどを理由に昨年8月、校長から研修を受けるよう指示された。
研修は今年4月に始まり、今村教諭は連日、生徒がおらず指導教師がいる教室で模擬授業を週に7時間している。授業はしていない。今村教諭は18日記者会見し、「『立って教科書を読んでください』などと一人芝居しているが、なぜこんなことをしなければならないのか。学校側と戦う」と涙ながらに話した。同席した同僚は「多くが退職せざるを得ない状況だ。実際に2年間で75人が退職した」と明かした。
同校の城川雅士教頭は「申立書が届いていないので詳細を把握していない」としたうえで、「06年ごろから、もっと教師は生徒のために努力しなければならないと話し合ってきた。一番大切なのは生徒。サービス向上のために教える技術を高めることが大切だが、負担に感じて退職した先生は確かにいた。研修は退職強要ではない」と話した。【飼手勇介】
毎日新聞 2009年6月19日 地方版