政財界倶楽部(恩田将葉見聞録)

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政治・選挙

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緊急スクープ 現自民党選挙対策委員長古賀誠の秘書による総額1億3850万円の詐欺事件 (上)

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緊急スクープ
現自民党選挙対策委員長古賀誠の秘書による総額1億3850万円の詐欺事件 (上)
2009年6月25日


■民主党や選挙とは関係ない疑惑の背景■

 なぜこのタイミングで、現役自民党選挙対策委員長古賀誠に関わるスキャンダルが急浮上したのか、そのこと自体に大きな疑問を感じる読者が多いと思う。実際、取材をした私も、この事件に関する話を持ち込まれた際、そのように思った。政権交代、もしくは政界再編と、どちらにしても窮地に追い込まれている自民党。その自民党の現役選挙対策委員長のスキャンダルがでた段階で、民主党の仕業に違いない、良く検証してみなければ、事件自体眉唾ものかもしれないと思った。少し前に注目の的になった、民主党前代表小沢一郎の秘書と西松建設による政治資金にまつわる事件も、国策捜査ではないかとか、自民党の仕業ではないのかと、色々な噂が飛び交っている。この件も、民主党による自民党へのリベンジなのではないかとさえ思ってしまったほど政治に対する不信は高まっている。

 ところが、被害者に会い、事件の詳細を聞き、貸し与えられた各種資料をもとに取材を進めてみると、これは選挙とはまったく関係なく、民主党とも自民党ともまったく関係ない、善意の第三者が騙された詐欺事件であることがわかってきた。だとすれば、許されることではない。ましてや、加害者が公人である代議士もしく代議士の関係者であればなおさらのことだ。

 本来、代議士とは、有権者である国民の生命財産を守るべき人たちであるはずだ。にもかかわらず、有権者である国民を守るどころか、反対に騙して多額のお金を搾取したとなれば、これは本末転倒であり政治家としての資質に大きな問題があるといわざるを得ない。それどころか、政治家を続ける資格がないといっても過言ではない。

 取材を進める内に、驚くべき事実まで発覚した。被害者である債権者は、なんと古賀誠代議士の選挙区に近い福岡県久留米市の市民である医療関係者なのだ。本来自分の地元選挙区の人々のことは、他の有権者以上に大切にするのが代議士の常である。ところが、自分の地元選挙区の有権者を大切にするどころか、蔑にしたというのだから呆れて開いた口が塞がらない。


■武闘派古賀誠の人生色々■

 古賀誠代議士といえば、名実ともに自民党の重鎮である。重鎮という単語が彼に相応しいか否かはまた別の問題ではあるのだが・・・。野田聖子との関係や郵政選挙の際小泉元首相への抵抗勢力の筆頭となったり、靖国神社遺族会の会長職を利用して遺族達へ唾をはくような発言をしたり、母校日大との公私に渡っての癒着問題や、道路族として得た情報をもとにしての土地買い漁り問題など、悪名も多く轟く。政治記者達の間では、グレーゾーン代議士という評判がもっぱらだ。ただ、なかなかの猛者で、油断のならぬ相手であることは間違いない。

 そんな古賀誠代議士は、昭和四十二年から昭和四十九年まで故鬼丸勝之参議院議員の秘書を務め、昭和五十五年六月に行われた第三十六回衆議院議員総選挙で初当選を果たした。その前年昭和五十四年十月に行われた第三十五回衆議院議員総選挙にも出馬したが、残念ながら落選している。

 派閥は当選以来宏池会で、現宏池会会長でもある。だが、派閥違いである野中広務元代議士と、師弟関係以上の関係にあることは有名だ。自民党内では、野中を踏襲し左派の中心人物として、人権擁護問題等で大きな功績も数多く残している政治家である。

 だが、その反面、水面下では金にからんだ噂が後をたたないことでも知られている。道路族である古賀氏のもとには、全国津々浦々の道路や鉄道の最新情報が集まる。その情報をもとにして、古賀氏は誰よりも早く道路や鉄道が建設される予定地を安く買い叩き、それを後に高く売り大きな利益を手にしていることでもよく知られている。時には、不良を使って手段を選ばぬ方法で、地上げしているという噂もある。しかし党内では、宏池会では珍しく武闘派であるため、政治家もマスコミも彼には正面切ってモノがいえない。いうなれば自民党内の番長のような存在だ。そんな古賀誠代議士の秘書の一人、小川俊忠が、総額一億三千八百五十万円の詐欺事件を起こした。古賀誠代議士の政治活動のための融資として貸し出された一億三千八百五十万円は、一円も返済されていない。それどころか、古賀誠事務所は、口を閉ざしたまま時効を待ちやり過ごすという卑劣な手で被害者を苦しめている。


■代議士秘書による多額詐欺事件■

 政治家秘書による詐欺事件は、昔から後を絶たない。だが、総額一億三千八百五十万円ものお金を、代議士秘書の名刺を使い、政治活動資金名目で借り受け、踏み倒すというのは前代未聞である。良くも悪くも腹が据わっているとしかいいようがない。

 ことの発端は、昭和六十三年六月に、「建設政務次官・衆議院議員古賀誠 秘書小川俊忠」という名刺を持って小川俊忠本人が、神奈川県藤沢市で日興ファイナンスという金融会社を営む星山博成代表のもとに、金を借りにきたことである。普通、初めての客に、多額のお金を融資することはあり得ない。だが、この時小川は、元々日興ファイナンスが一億円ほど貸し付けている客でコンピューター会社を経営する坂口という男に同伴されてきたこともあり、星山氏は最初から融資の話を前向きに取り合ってしまった。当然のことながら、星山氏は金の用途を小川に問いただした。すると小川は、間髪を入れずに、「現在建設政務次官を務める古賀先生は、大臣の椅子を狙って一番大事な時期にあります。大臣の椅子を手に入れるには、根回しやら何やかやと金がいくらあってもたりません。にもかかわらず、株で大きな損失をだしてしまい、古賀先生は非常に困っています。そこで、政治活動資金として、私が古賀先生に代わり融資を受けたいと思っています」と説明した。その小川の説明には澱みがなく、星山氏は小川と古賀代議士の師弟愛を感じてしまった。何故なら、星山氏は長年空手を修行していたので、小川と古賀代議士の関係に自分と空手の師匠との関係をオーバーラップさせてしまったというのだ。結局星山氏は、師弟愛をチラつかせた小川の演技に騙され、直ぐに五百万円のお金を融資した。しかし、この時とその直後、二回目の融資として八百万円を貸し出した際には、小川を星山氏に紹介したコンピューター会社を経営する坂口という男が小川の連帯保証人になっていたため、星山氏もあまり心配はしていなかった。実際、この一回目と二回目の融資に関しては、直ぐに坂口が全額返済したので、この頃には星山氏もすっかり小川のことを信じ込んでしまっていた。そして、その同じ月に、今度は小川が一人で星山氏を訪ねてきた。そして、三千八百万円の融資を申し込んだのだ。桁が違うことと、坂口同伴でないこともあり、一瞬星山氏も二の足を踏んだ。だが、直近二回の融資も完済されていることもあり、星山氏は三千八百万円の融資を年利十五%返済期間二十年という条件で約束してしまった。勿論この段階でも、小川は単なる窓口であって古賀代議士に迂回融資した、と星山氏は信じていた。ここから、全てが始まった。

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