FictionJunction YUUKAの2ndアルバム『circus』がついに完成。煌びやかなFJYの世界が、まるでサーカス小屋の異空間にいるみたいに展開していきます。また新曲では、ゆったりとしたセンチメンタル感や、ほんのりシアワセな空気感が漂います。聴き終わったあとのアナタの気持ちは、何色でしょう?
――聴いたあとに切なさが残るだけじゃなく、色合いが心に残っている、そんなイメージのアルバムでした。『circus』というタイトルが、まさにピッタリですね。
【梶浦】 「circus」という曲があって、それがアルバムのタイトルになったわけではなく、サーカスという言葉そのものが、薄暗いテント小屋の不思議な空間のイメージがあるんですよね。狭いはずなのに中は意外と広い空間で、そこでいろんな出し物がいろんなライトに彩られながら進んでいって、終わって外に出ると夕方で、うら寂しい気持になる。そういう雰囲気がこのアルバムに合っているんじゃないかな?と思ったんですよ。聴き終わったあとにものすごく晴れ晴れとするアルバムじゃないだろうけど、聴き終わったあとにキレイな夕暮れどきみたいな気持ちになってくれるとうれしいなと。
――YUUKAさんは、サーカスという言葉に、どんなイメージを持っていますか?
【YUUKA】 中学生の頃に『アレグリア』を観に行ったことがあって、すごく感動した記憶があります。キレイななかにも何か不気味な雰囲気があって、すごく違和感を感じたんですよね。でも、私は小さい頃から劇場に入って異空間を楽しむということが大好きで、『アレグリア』を観たときに、その楽しみかたと同じものを感じて何回も観た憶えがあります。だからサーカスってとても特別な感じですね。FJYの音楽もサーカスに例えられて“あ、なるほど”ってすんなり入り込めたんです。サーカスに例えられる音楽なんだと思うと、すごくうれしかったです。
――アルバムのオリジナル曲が数曲ありますが、それがアルバムの流れのなかでブレスになっているなと。
【梶浦】 他の曲が息を継ぐ間もない曲が多いのでね(笑)。どうしてもタイアップ曲になると、1曲のなかに山谷入れたいと思うし、私自身が派手好きなもんで、派手に作りたくなっちゃうんですよ。だから聴いていても疲れる曲が多いなって自分でも思うんですけどね。
――いや、そういう意味では・・・(笑)。
【梶浦】 (笑)。アルバムオリジナル曲はコンセプチュアルじゃないところから自由に作れたんですよね。いい意味で力が抜けて、シンプルな作りになっていると思います。
【YUUKA】 歌うのが楽しかったです。何の怖さもなく、急に大草原に来ちゃったみたいな本当に“楽しい!”気分だったんですよ。
――アルバム作りで好きになった歌はありますか?
【YUUKA】 「六月は君の永遠」ですね、この曲が偶発的にできた歌だって最近まで知らなかったんですよ。
――何があったんですか?
【YUUKA】 ある日スタジオに行ったら梶浦さんが「YUUKAちゃん、これちょっと聴いてみて」と言われて聴いて、すごくいい歌だなぁって思ったんですよ。“私、これ歌うのかな?”って(笑)。
【梶浦】 この曲は「ピアノ」という曲のレコーディングが2日後に迫っていたときにできちゃって、“今更持っていくのも・・・”と思いながらも“録りましょうよ”と言わないで「こんなのができたんだけど・・・」と様子を伺いつつ聴いてもらったんです。
【YUUKA】 そんな経緯がありつつも、この歌がすごく好きです。本当に聴いた瞬間に、香りが漂ってくるようなイメージが膨らんで、歌いたいと思ったんです。でも後で、実はレコーディングする予定じゃなかったと聞いて“そうなんだ!”ってビックリしました(笑)。でも歌えてよかったな。
――アルバム作りを振り返ってみて、いかがですか?
【YUUKA】 梶浦ワールドのなかで気持ちよく泳げるようになるのに少し時間がかかったけれど、今回は、すごく自由に泳げたなって。“音楽って、本当に楽しいな”って感じることができました。そういうことも含めて、1stアルバムから1年半の私の人生と重なっているなぁって、しみじみ感じますね。FJYとともに歩んできてくれたかたもきっと、そんな気持になるんじゃないかな?って思います。
【梶浦】 YUUKAは歌の成長はもちろんのこと、やはり大人になったなと思います。経験を積んでいくなかで自由に泳げるようになっていったんじゃないかな。私も彼女と一緒にやっていくなかで、楽曲を作りながら遊び続けることができるし、2人で泳げるというか、お互いが楽しめる範囲が広がったのかな?って思いますね。
(文:三沢千晶)