――梶浦さんの曲にYUUKAさんは、どんな印象を持っていますか？
【YUUKA】 梶浦さんの曲には毎回ビックリさせられています。難しいと感じさせられる曲が多くて。以前は“どうしてこんなに難しい曲を私に？”って思っていたんです。でもレコーディングを重ねるうちに、FictionJunction YUUKAのなかでもいろんな色を表現できるんだっていう楽しさを感じてきて、最近では“次はどんな曲がくるんだろう？”ってワクワクしてるんです。
――新しい曲を歌うと、新しい自分と出会えませんか？
【YUUKA】 それはありますね。レコーディングの日は、朝起きたときから曲の世界観に自分が生きているような感じになっていて、戦闘体勢になっているというか（笑）。けっこう力強い曲が多いので、シャキッと起きて1日が始まり、レコーディングが終わるまでその状態なんです。終わると、普段の自分に戻るんですけどね。“あれ？私って思っていたよりもいろんな面を持っているんだなぁ”ってことに気づいて。
――確かに、今日YUUKAさんとお会いして、すごくフンワリとした雰囲気でおっとりしているように感じたんですけど、歌を聴くとすごく勇ましいというか、凛々しいんですよね。
【YUUKA】 そうなんですよ。マイペースなので（笑）。でも同じ自分のなかから出てくるものなので、面白いな〜って思いますね。
――「荒野流転」は、オリエンタルでミステリアスな曲ですね。大地を走るようなリズムが印象的で。振り返らない感じがしますね。
【YUUKA】 明るい曲ではないですけど、前に進んでいく強さがあります。わき目もふらずに走っていく姿が想像できて、そのなかでもふと立ち止まったりする部分が出てきたり、1人の人間のストーリーを追っている感じがしますね。数分間の短い時間のなかで、すごく大きなドラマを見ているような気持ちになります。
――この歌の、どんな部分に共感しますか？
【YUUKA】 私は2番の出だしの＜生き抜くことに戸惑い＞から＜誰もが一人きり〜＞のところが好きなんです。他のところは少し難しい言葉が多くて、ちょっと考えないとわからなかったりするんです。でもその2番の始まりでは、急にストレートな言葉が出てきて、人間臭さを感じたんです。
――なるほど。1番で世界観を創り上げて、そこから心の中に入っていくみたいな歌ですよね。
【YUUKA】 そうですね。1番では“私はこんな強い人間ではないな”って感じて、2番からは歌詞にしてもメロディーにしても、儚さを感じて、自分が救われた気がしたんです。ホッとする部分でもありますね。
――音楽を作っていく楽しさが、大きくなっていっているみたいですね。
【YUUKA】 ミュージカルの場合は、お芝居と歌で表現しますよね？でもFictionJunction YUUKAは、歌だけで表現する難しさがあったんです。でも、どんなジャンルの音楽にも、作っている側の楽しさが伝わってくるから、こちらも楽しくなってくるってところがあると思うんです。一生懸命やればいいってことじゃなくて、難しさも楽しく歌って解決していったほうが聴いている人も楽しいんだろうなって思えるようになりました。これからも、もっといろんな曲に挑戦していきたいですね。
（文：三沢千晶）