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カニ殻エキスで農業活性化/減農薬や無農薬栽培に取り組む/「食の安全に貢献を」/寿バイオの廣田泰則社長

掲載日:2009/01/07

  カニ殻エキスで農業活性化/減農薬や無農薬栽培に取り組む/「食の安全に貢献を」/寿バイオの廣田泰則社長1
  
  

 自然の素材を活用した農・園芸資材の製造卸をする㈱寿バイオ(松江市西嫁島)の廣田泰則社長。減農薬栽培や無農薬栽培を支援する商品の開発を進め、昨年からはカニ殻に含まれるキトサンと海藻からできた稲用の資材「稲田の素」の販売を始めた。稲の茎が太くて倒れにくくなったと評判も上々だ。
 もともと雲南市を中心に海産物の行商を行っていた廣田社長。農作物の育成にいいと畑で使用されていたカニ殻も販売したが、臭いがきついのが難点だったという。
 そんな時に出会ったのが、植物の抽出液を扱う消臭剤の製造会社。そこからキトサンと植物の除菌作用を融合させるヒントをもらい、ヒノキやマツ、スギなど三十五種類の植物抽出エキスとカニ殻のキトサンを混合した植物活性剤「アグリチンキ36」の開発と商品化に成功した。
 ただ、バラの愛好家や園芸家などに出荷してきたが販売から三年間は赤字続き。「肥料でも農薬でもない。一度使ってもらえばその良さを分かってもらえるが、使ってもらうまでが大変だった」と振り返る。
 転機が訪れたのは、〇六年に販売を始めた「野菜の番人」。「農作物を作っても虫食いがあると商品価値が下がってしまう。だが、農薬や殺虫剤は使いたくない」という農家のニーズに応え、キトサンや海藻のほか、唐辛子やにんにくなどを配合して開発。希釈せずに指などで直接まける手軽さや、散布直後の農作物でも安心して食べられる安全性が受け、主力商品となった。
 「これからも無農薬の作物が市場に並ぶよう働きかけていきたい」という廣田社長。「減農薬栽培、無農薬栽培に取り組む人の期待に応え、その延長線上にある一般消費者の食の安全にも貢献したい」。挑戦はまだ始まったばかりだ。

プロフィール 松江市出身。二十歳でUターンし、セールス業などを経て一九九三年、個人で海産物や園芸用品などの販売を始めた。「アグリチンキ36」の開発を機に同社を立ち上げた。多い時で月の半分を出張するためほとんど休みもなく、「仕事に託けているわけではないが、特に趣味はないですね」と笑う。52歳。


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