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サイバーテロ:揺らぐ「IT大国」韓国

 顔の見えない「サイバーテロ」により、世界最高水準のインターネットインフラを誇るIT(情報技術)大国「コリア」の立場が揺らいでいる。

 今月7日午後6時20分ごろから一斉に始まったDDoS(分散型サービス拒否)攻撃により、大統領府(青瓦台)をはじめ、国防部・外交通商部・国会など国家の主要機関のウェブサイトが二日間、まひ状態に陥った。その上、ネイバーなど一日平均1000万人以上が訪れるポータルサイトまでがなす術なくサイバーテロにさらされ、二日目となる8日には国家情報院などを対象として第2次攻撃が加えられるなど、被害は日を追って拡大している。

 問題は、こうしたサイバーテロが益々頻発し、その手法も巧妙化しているにもかかわらず、韓国政府当局は事態が沈静化するのを待つ以外にさしたる対策を打ち出せずにいる、という点だ。

 韓国政府によると、韓国国内のコンピューターネットワークに対する攻撃の試みは一日平均100万件にもなり、実際にハッキングの被害が発生した事例も最近5年間で30%以上急増した。しかし、「セキュリティーへの投資は不必要な費用」というのが韓国での認識だ。

 セキュリティー企業ハウリのキム・ヒチョン代表は、「サイバー攻撃は単にハッキングの実力を誇示するためのものではなく、韓国の安全保障や経済・社会インフラを徹底してまひし得る社会的テロだ。たった一度のサイバーテロで国家全体がまひする可能性がある」と語った。

 もし今回のサイバーテロが国家機関ではなく、銀行・証券会社など金融網をターゲットとしたならば、一日の取引規模が26兆9000億ウォン(約2兆円)=韓国銀行、今年第1四半期基準=に達する金融システムが一気に崩壊する可能性がある。

 韓国がこうしたサイバーテロに弱いのは、超高速インターネット加入者の数が1580万人に達するほど優れたインターネットインフラを備えている一方で、情報保安の意識とセキュリティ投資が後進国レベルにとどまっているからだ。例えば、米国連邦政府の情報保護関連予算は2008年、IT関連予算全体の9.2%に達するのに対し、韓国では同予算に占める割合が2-3%に過ぎない。

 安哲秀(アン・チョルス)研究所の金弘善(キム・ホンソン)代表は、「韓国のセキュリティー市場規模は日本の5%に過ぎないほどで、セキュリティーへの投資に後ろ向きだ」と語った。

チョ・ヒョンレ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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