判断基準があいまいだなどとして、フィリピン国籍の少女、カルデロンのり子さんのケースでも問題となった「在留特別許可」について、法務省が新しいガイドラインを公表しました。
「家族3人で在留特別許可を認めてもらって、毎日笑顔で過ごしたいです」(カルデロンのり子さん 今年2月)
フィリピン国籍の少女、カルデロンのり子さんが求めていたのが、「在留特別許可」。法務大臣の裁量で滞在資格を認める制度です。日本で生まれ育ったのり子さんには許可が認められましたが、両親は認められず、強制送還されました。
「退去強制すべきものは退去強制し、在留特別許可を認めるべきものは認めることとし」(森 英介 法相)
法務省は10日、この「在留特別許可」の新しいガイドラインを公表しました。許可を認める積極的な要素として、自ら出頭し不法滞在を申告していること、滞在が長期に及び日本に定住していることなどが明記されました。
さらに、「10年以上日本に住み、同居する実の子が小・中学校や高校に通っている」というケースも許可を認める方向で検討するとされました。
これは、のり子さん一家に合致する事例ですが、一方で法務省は、偽造パスポートでの不法入国について、許可を認めない消極要素として明記し、新しいガイドラインでも両親の強制退去処分は変わらないとしています。
「部分的には(在留特別許可の)ハードルは下げられたと見ることができるが、消極要素があれば一律認めないというのも、かなり硬直な運用だと思う」(のり子さんを支援する 渡辺彰悟弁護士)
国内の不法滞在者は13万人以上とされていますが、法務省は、基準をより明確にしたことで自主的な出頭を促したいとしています。(10日17:23)