“荷物を預っている。取りに来て!”“当社のテレビCMモニターに選ばれた。”
呼び出した若者に高額なDVDソフト等を売りつける
事業者グループを行政処分
平成17年3月3日
生活文化局
本日、東京都は、「荷物を預っている。」、「当社のテレビCMモニターに選ばれた。」等の口実で呼び出した若者に、DVD購入契約と複合サービス提供契約の抱き合せ販売を組織ぐるみで行っていた4事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第7条に基づく指示及び東京都消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づく勧告を行いましたので、お知らせします。
1 事業者の概要
事業者名 | 株式会社ジャパンオブザワールド | 株式会社ジョウサービス | 株式会社GIF | 株式会社オールアンドアシスト |
---|---|---|---|---|
代表取締役 | 大西 健雄 | 大西 健雄 | 山本 広明 | 菊池 滋 |
登記簿上の住所 | 千代田区平河町 1-8-11-704 |
渋谷区神南1-12-16 アジアビル5階 |
渋谷区神南1-12-16 アジアビル5階 |
渋谷区神南1-12-16 アジアビル5階 |
実際の所在地 | 渋谷区神南1-12-16 アジアビル5階 |
渋谷区神南1-12-16 アジアビル5階 |
渋谷区渋谷2-16-1 日石渋谷ビル6階 |
千代田区岩本町1-3-2 日進ビル8階 |
役割 | DVD企画・販売元 | 複合会員サービス提供会社 | 販売代理店 | 販売代理店 |
(注)複合会員サービスとは、旅行が安くなる等の様々な特典をうたった会員サービスをいい、商品を含む場合もある。
《事業者に関する苦情相談の概要》
- 相談件数は4社合計で444件(過去5年間の合計)
- 主な販売商品及び役務の提供は、DVDソフトと複合会員サービス
- 契約者の45%が20代前半、31%が20代後半で、大学生や社会経験がまだ浅いフリーター、会社員等が対象。契約平均額は約88万円
(株)GIFの場合
- 携帯の留守電に「荷物を預っている」とあり、電話したら「クーポンが発行されているので取りに来て」と言われて出掛けたところ高額のDVDセットを買わされた。解約したい。
- 自宅に電話があり「信販会社への支払が優良である人へのサービス」と言われ出向き、高額なDVD教材を買わされた。解約したい。
(株)オールアンドアシストの場合
- ハガキの連絡先に電話をしたところ呼び出されて長時間勧誘。時間がなくなり仕方なく契約。
- 知人を装った女性から手紙が届き、電話して欲しいと番号があった。連絡すると呼び出され4時間以上勧誘を受け仕方なく契約。解約したい。
2 組織ぐるみの営業実態
株式会社ジャパンオブザワールドは、株式会社ジョウサービスが提供する複合会員サービスと抱き合せ販売の方法により、事実上営業活動を一体として推進している株式会社GIF及び株式会社オールアンドアシストに自社製品の購入勧誘行為を行わせている。
4事業者の関係(下図参照)
- (株)ジョウサービス、(株)GIF及び(株)オールアンドアシストは、(株)ジャパンオブザワールドの100%子会社であり、4社の取締役は重複している。また、(株)ジャパンオブザワールドと(株)ジョウサービスは渋谷区神南のアジアビル5階の1室に同居している。
- (株)ジャパンオブザワールド及び(株)ジョウサービスは、その提供する商品の販売に関し(株)GIF及び(株)オールアンドアシストと販売委託契約を結ぶことなく、業務命令として行わせている。
- (株)GIF及び(株)オールアンドアシストの事務所の必要経費は(株)ジャパンオブザワールドが負担しており、両者の売上は、(株)ジャパンオブザワールドからの販売委託経費相当額のみである。
- (株)GIF及び(株)オールアンドアシストの従業員として勧誘行為を行っていた「委任契約社員」の報酬は、直接(株)ジャパンオブザワールドが支給している。
- (株)ジョウサービスは、会員からの会費収入の5割以上を共同運営費として(株)ジャパンオブザワールドへ支払っている。
3 勧誘の手口
(1) (株)GIFの場合
携帯電話で「クレジットの支払遅延がない優良な方にだけ発行される、特別なカードを預っている。取りに来て。」などの口実で来所させ、
↓
事務所に行くと、「カードは無料だが、トレンディクラブに入会する必要がある。」、「書面に商品名が必要。DVDは無料サービス」などと嘘の説明をし、同意するまで長時間の勧誘を行い、契約を締結させる。
(2) (株)オールアンドアシストの場合
地方の高校卒業生名簿等を使い、20歳になる年に「至急連絡を下さい。」とだけ書いたはがきを送付。連絡があると、地元に出向いて勧誘を行う。
地方の実家から、「『以前連絡したが返事がない。至急連絡して。』という異性からのハガキが来ている。」との連絡を受け、
↓
相手先に連絡すると、「わが社が流すTVのCMモニターに選ばれた。今度、丁度○○市に行くので、その時に会いたい。」と言い、会う約束をする。
↓
事業者に会うと、「すごくお得な割引サービスと、とても役に立つDVDを扱っている。」と商品説明を始め、消費者がモニターとしてアンケートに答えていると、突然、同意したと見做して、契約書に署名するまで長時間の勧誘を行い、契約を締結させる。
4 「特定商取引法第7条に基づく指示」及び「条例第48条に基づく勧告」の内容
(対象となる不適正行為の例は別紙のとおり)
指示 | ア 顧客又は購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしないこと。 イ 顧客又は購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げない行為をしないこと。 ウ 迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をし、又は売買契約の解除について迷惑を覚えさせるような仕方で妨げないこと。 エ 契約に係る書面に年齢、職業その他の事項について虚偽の記載をさせる行為をさせないこと。 |
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勧告 | ア 商品の販売の意図を明らかにせず、商品の販売以外のことを目的であるかのように告げて契約締結を勧誘しないこと。 イ 取引条件が実際のものより著しく優良・有利であると誤信させるような表現を用いて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させないこと。 ウ 消費者からの要請がないにもかかわらず、貸金業者等からの借り入れその他の信用の供与を受けることを勧めて契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させないこと。 エ 消費者のクーリング・オフの権利の行使に関して、これを拒否し、若しくは黙殺し、又は甘言等を用いて、当該権利の行使を妨げ、契約の成立又は存続を強要する行為を行わないこと。 オ 法令及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること。 |
5 今後の対応
(1)指示等の内容に対する改善措置について、平成17年3月17日までに都知事あて報告させる。
(2)今後の是正状況等を監視し、改善が図られない場合は、法に基づき業務停止命令等を行う。
≪消費者の皆様へ≫ |
問い合わせ先 生活文化局消費生活部取引指導課 電話 03−5388−3074 |
〔別紙〕
不適正な取引行為 | 根拠法令 |
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パソコンソフトと会員サービスは別契約であるのに、
(株)オールアンドアシスト
|
法6条1項 (不実告知) |
(株)GIF
(株)オールアンドアシスト
|
法7条2号 (重要事項不告知) |
(株)GIF
(株)オールアンドアシスト
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法7条3号 施行規則7条1号 (迷惑勧誘) |
(株)GIF
|
法7条3号 施行規則7条3号 (虚偽記載) |
DVDソフト等の販売目的を隠して、
(株)オールアンドアシスト
|
条例25条1項1号 施行規則6条1号 (販売目的隠匿) |
(株)GIF
(株)オールアンドアシスト
|
条例25条1項1号 施行規則6条4号 (優良有利誤認) |
(株)GIF
(株)オールアンドアシスト
|
条例25条1項2号 施行規則7条6号 (要請がない信用供与を伴う契約の勧誘) |
(株)GIF
(株)オールアンドアシスト
|
条例25条1項6号 施行規則11条1号 (クーリング・オフ妨害) |
※根拠法令は、改正後の特定商取引に関する法律(平成16年11月11日施行)の適用条項です。
勧誘事例 (株)GIF(以下GIF):会員サービス購入のはずが、名目だと思っていたDVDが届いて驚いたケース
○平成15年12月6日の夜、都内在住の20代男性Aの携帯に「DVD教材が届いているので取りに来てくれ。」という電話があり、Aは翌12月7日の12時半頃に渋谷の事務所に行くことにした。
○Aが平成15年12月7日の12時半頃に事務所に行くと、最初に出た男性に荷物があると電話を貰ったと伝えると、20代位の男性が出てきて「届いた荷物はこのトレンディクラブカードで、色々な割引ができる。」といきなりAにカードの説明を始めた。「これはすごいカードで、旅行、映画や各種チケットなどずっと安く買える。全国のデパートでも割引が利き、セブン・イレブンならタバコだって安い。」。一通り説明すると男性は「こんなすごいカードがタダなんだよ。欲しくない?」といった。Aはタダならいいかと思い、「お願いします。」と答えた。すると男性は「このカードはあなたのものだが、この契約には当社のカルチャーセット一式の購入が必要。」と言い、突然カルチャーセットの話を始めた。「トレンディクラブ会員はこのカードがタダだけど、会員になるには会員権購入が必要。会員権購入だと信販契約が通らないので、名目上はカルチャーセットの購入という形にする。」と説明した。男性は、カルチャーセットはDVDソフトとだけ説明し、現物も見せなかった。
ここで上司らしいXが書類を持って来た。Aは「用事があり帰りたい。」と言ったが、Xはサービスの話を続けた。販売会社ジャパンオブザワールド、販売代理店GIFのクレジット書類には支払月額23,000円とあり、「払えない。」とAは言ったが、Xは「後2つ3つアルバイトをすれば支払えるんじゃないかな。」と言って、執拗に契約を勧めた。契約したくはなかったが、契約するまでは帰してもらえそうもなく本当に困ってしまい、早く帰りたいAは契約を承諾した。月会費3千円の引落しについては全く説明がなかった。クレジット書面記入時に、AがXに「アルバイトでもいいか?」ときくと、「正社員と書いて。」と言われ、そう書かされた。さらにXは、「信販会社から確認の電話があるから全部『はい』と答え、終わったらXに電話して。」と言った。クーリング・オフの説明もしたが、「まさかAさんはそんなことはしないと思うけど。」と言った。契約後に、奥から部長のYと言う女性が出てきて挨拶した。Aが事務所を出た時はもう午後5時半だった。
○12月8日、信販会社からの電話確認に、AはXの指示通り「はい」と答え終了後に電話した。
○Aは持ち帰った書類に印鑑を押して返送したが、書類不備で再度GIFから書類が届いた。Aはそのまま放置した。後日、DVDセットが家に届き、カルチャーセットは名目だけだと思っていたAは驚いた。1月にAはXに旅行の手配を依頼し、2月初めにキャンセルした。数日後、旅行会社から代金支払督促の電話があり、キャンセルを旅行会社に伝えないXに不信感を持った。隔月発行の会報は届かなかった。「セブン・イレブンでタバコが安く買える。」と言われたので、Aはタバコを買いカードを見せたが、割引は受けられなかった。
○Aは2月17日に市部消費生活センターに行き、ジャパンオブザワールドと信販会社宛の解約書面を書き、2月27日に発送した。センターとジャパンオブザワールド担当者の交渉により、分割手数料を含め1,105,650円のDVD購入と毎月3,150円の会費支出の契約は、分割払い初回金24,650円の支払いで解約となった。