政府支援のJALと公募増資のANAの違い=為替王
7月7日8時56分配信 サーチナ
経営危機に陥る日本航空(JAL)を、私たちの税金で支援することになりました。かつて金融機関に公的資金が投入されたときは批判の大合唱が沸き起こりました。JALのような民間企業へ政府保証の支援を行うことは極めて異例で、もう少し議論があってもよいかと思いますが、国民の関心は低いようです。
ところで、同じ航空会社の全日空(ANA)はどうなのでしょうか? JALとANAを金融市場の目から比較してみましょう。
2004年3月末時点では、JALの株価354円、ANAの株価358円と、ほぼ同じ水準でした。ところがその後、じわじわと格差が拡大し、2009年5月末時点では、ANAは5年前とほぼ同じ水準の353円をキープしているのに対して、JALの株価は192円。その差161円まで拡大してしまいました。
与謝野大臣はJALの経営危機の要因に燃料高騰や世界同時不況を挙げ、JAL西松社長も株主総会で景気悪化が原因だと開き直りました。しかしそれはANAもまったく同じこと。ANAも昨年度赤字に転落しましたが、公募増資で財務基盤を強化し復活を目指しています。中小企業経営者は不況で自殺者数が急増しているのに、政府に助けられたJAL経営陣の責任追及の姿勢もほとんど報道されません。ANAは5年前の株価水準を維持している一方で、JALが大幅に株価下落している原因として、高コスト体質(現役従業員への高すぎる給料や、OBへの手厚すぎる企業年金給付など)が非常に問題で、それが是正される前に1千億円もの資金が投入されることについての批判的な意見も根強く聞かれます。
さて、債券・金利市場から両社を比較した場合はさらに明確です。
両社に満期まで残り9年の社債があるのですが、その利回りは、ANAが約4%、JALが約8%。つまり、ANAなら信用できるから利回り4%でも社債を購入したいけども、JALは信用できないから8%という高利回りでないと買い手がつかない状況です。実際、JALは格付け会社(S&P社)から「B+」という評価を下されているため、ANAの社債購入は通常の“投資”である一方、低格付けのJALの社債購入は“投機”とみなされるレベルまで落ちています。
JALに政府保証の再建のお墨付きを与えてもらった金子国土交通相は「しっかりと指導・監督していく」とコメントしましたが、不況で大幅な給与・ボーナス削減、リストラを強いられ、政府に助けてもらえない多くの普通の民間企業従業員と不公平感が出ないような厳しい指導が本当に期待できるでしょうか?(執筆者:為替王)
【関連記事・情報】
・ 今日のポジション(7/7) - 為替王
・ シュワルツェネッガー州知事、借用書発行の珍事 (2009/07/06)
・ 今週の為替相場見通し(2009年7月6日〜)=為替王 (2009/07/06)
・ 読者注目株ランキング&日経平均予想アンケート=為替王 (2009/07/02)
・ 人気の1兆円中国株ETF組入上位10銘柄公開=為替王 (2009/07/01)
ところで、同じ航空会社の全日空(ANA)はどうなのでしょうか? JALとANAを金融市場の目から比較してみましょう。
2004年3月末時点では、JALの株価354円、ANAの株価358円と、ほぼ同じ水準でした。ところがその後、じわじわと格差が拡大し、2009年5月末時点では、ANAは5年前とほぼ同じ水準の353円をキープしているのに対して、JALの株価は192円。その差161円まで拡大してしまいました。
与謝野大臣はJALの経営危機の要因に燃料高騰や世界同時不況を挙げ、JAL西松社長も株主総会で景気悪化が原因だと開き直りました。しかしそれはANAもまったく同じこと。ANAも昨年度赤字に転落しましたが、公募増資で財務基盤を強化し復活を目指しています。中小企業経営者は不況で自殺者数が急増しているのに、政府に助けられたJAL経営陣の責任追及の姿勢もほとんど報道されません。ANAは5年前の株価水準を維持している一方で、JALが大幅に株価下落している原因として、高コスト体質(現役従業員への高すぎる給料や、OBへの手厚すぎる企業年金給付など)が非常に問題で、それが是正される前に1千億円もの資金が投入されることについての批判的な意見も根強く聞かれます。
さて、債券・金利市場から両社を比較した場合はさらに明確です。
両社に満期まで残り9年の社債があるのですが、その利回りは、ANAが約4%、JALが約8%。つまり、ANAなら信用できるから利回り4%でも社債を購入したいけども、JALは信用できないから8%という高利回りでないと買い手がつかない状況です。実際、JALは格付け会社(S&P社)から「B+」という評価を下されているため、ANAの社債購入は通常の“投資”である一方、低格付けのJALの社債購入は“投機”とみなされるレベルまで落ちています。
JALに政府保証の再建のお墨付きを与えてもらった金子国土交通相は「しっかりと指導・監督していく」とコメントしましたが、不況で大幅な給与・ボーナス削減、リストラを強いられ、政府に助けてもらえない多くの普通の民間企業従業員と不公平感が出ないような厳しい指導が本当に期待できるでしょうか?(執筆者:為替王)
【関連記事・情報】
・ 今日のポジション(7/7) - 為替王
・ シュワルツェネッガー州知事、借用書発行の珍事 (2009/07/06)
・ 今週の為替相場見通し(2009年7月6日〜)=為替王 (2009/07/06)
・ 読者注目株ランキング&日経平均予想アンケート=為替王 (2009/07/02)
・ 人気の1兆円中国株ETF組入上位10銘柄公開=為替王 (2009/07/01)
最終更新:7月7日8時56分
ソーシャルブックマークへ投稿 0件
関連トピックス
主なニュースサイトで 日本航空(9205) の記事を読む
この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます
- 日航の年金583万円=高コスト体質浮き彫りに(時事通信) 7日(火)3時0分
- 北方領土問題 露、具体的提案見送りへ 首脳会談「日本固有」に反発(産経新聞) 6日(月)7時56分
- 与那国に陸自部隊の配置検討、防衛相が表明[photo](読売新聞) 8日(水)12時50分